テンペスト(シェイクスピア)のあらすじ

Tempest

テンペストは1612年に発表されたシェイクスピアのロマンス劇です。 かつてミラノ大公だったプロスペローがナポリ王とミラノ大公の船団を嵐で呼び寄せて復讐する物語ですが、テーマは和解であり復讐と言ってもちょいと懲らしめるぐらいのものです。

シェイクスピア作品はやたらと人が死んで悲劇的な結末に終わるものも多いですが、本作は比較的安心して読める一作です。

第一幕

ナポリ王アロンゾーとミラノ大公アントニオの一行は、船でナポリへの帰路に就いていました。 しかし孤島の側を通りかかると急な大嵐に遭い、難破して孤島へと漂着します。

この嵐は孤島に住む魔術師プロスペローの魔術によって起こされたものでした。 プロスペローはかつてミラノ大公でしたが、学問や魔術の研究に熱中して政治は弟のアントニオに任せきりでした。 その隙を突いてアントニオはプロスペローを敵視していたアロンゾーと結託し、プロスペローとその娘ミランダをミラノから追い立てたのです。

プロスペローは島でミランダを教育しながら細々と生活をしていました。 そして12年前の復讐を果たすため、船が近くを通ったのを見計らって妖精エアリアルに命じて嵐を起こさせたのです。 エアリアルはプロスペローの命令通りに幾人かを島に上陸させ、船と船員たちは島の入江に隠して魔法で眠らせました。

エアリアルはかつて島にいた魔女に封印されていた所をプロスペローに助けられ、今は召使として働いています。 プロスペローはエアリアルを酷使するので不満もありますが、この仕事が終われば解放して貰える約束なのでキリキリ働いています。

島には他に醜い姿の怪物キャリバンが住んでいました。 キャリバンはかつてプロスペローの庵に住み教えを受けていましたが、ミランダを襲おうとしたことがあってから岩牢に閉じ込められ辛い労働を強いられています。 そのためキャリバンはプロスペローへの憎しみを募らせていました。

ナポリの王子フェルディナントは一人岸に打ち上げられており、父も友人も死んでしまったと思って佇んでいました。 そこにプロスぺローとミランダがやってきて、二人は一目ぼれで恋に落ちてしまいます。

これはプロスペローの思惑通りでしたが、しかしあまりに簡単に結ばれてはありがたみがありません。 そこでプロスペローはフェルディナントに試練を与えることにしました。

第二幕

一方でアロンゾーとアントニオたちは島の別の場所に流れ着いていました。 一行は寝静まった後、アントニオはアロンゾーの弟セバスチャンと悪だくみを始めます。

ナポリの王子フェルディナントは海で死んでしまったことだろう、ならばアロンゾーを殺してしまえば次のナポリ王はセバスチャンです。 二人は結託して剣を抜いて事に及ぼうとしました。

しかし全員を生かすよう命令を受けていたエアリアルが皆を目覚めさせて凶行を未然に防ぎます。 二人は剣を抜いたのは猛獣の声がしたからだと取り繕い、一行は猛獣から逃れるためにその場を離れてフェルディナントを探しに行きます。

他方キャリバンは島に流れ着いた道化をプロスペローの使役する精霊と勘違いし、自分を虐めに来たと思って腹ばいになって横たわり身を隠します。 道化はキャバリンが死んでいると思って雨をやり過ごすために上着に潜りこむと、キャリバンは「いじめないでくれ」と騒ぎました。

そこへ執事がやってきて四本脚で言葉を話す怪物とは珍しい、飼いならしてナポリへ連れて行こうと酒を飲ませます。 すると道化が上着の中から出てきて二人は再会を喜びます。

そして酒を飲まされたキャリバンは、執事のことを天上の美酒を持った神様だと思いました。 そして執事の家来になると誓い、魔法使いの暴君プロスぺローを斃して欲しいと懇願します。

第三幕

フェルディナントはプロスペローに辛い労働を強いられていました。 しかし当のフェルディナントはミランダの事を思えば何ということはないようで、二人の愛はプロスペローの思惑どおりに深まっていきました。

他方、アロンゾーたちはフェルディナントを探し、アントニオとセバスチャンは今晩再びアロンゾーを暗殺する相談をしています。 すると突然不思議な音楽が鳴り不思議な姿をしたものたちが豪勢な食事を運び込みました。 一行は料理を訝しみながらも食べようとすると、怪鳥の姿をしたエアリアルの羽ばたきで食事は消えてしまいました。

そしてエアリアルは「お前たち三人は罪人で、嵐で船が難破したのは善良なるプロスペローを追い立てた報いである」と告げます。 「神はアロンゾーからフェルディナントを奪った、心から改心しなければお前たちには破滅が訪れるだろう」と言い放つと、エアリアルは雷鳴の中に消えていきます。

アロンゾーはフェルディナントが死んでしまったものと思い、自分も息子と共に泥に沈もうと言います。 しかしアントニオとセバスチャンはあれは悪魔の仕業だと一戦交える腹積もりです。 しかし罪の意識により三人の心は徐々に蝕まれていきました。

第四幕

プロスペローはフェルディナントに手荒な扱いをしたことを詫び、それは愛情が本物か試すためだったと打ち明けます。 そしてフェルディナントとミランダとの結婚を許し、精霊たちは二人の結婚を祝福します。

そしてプロスペローは二人を置いてキャリバンたちの迎撃に向かいます。 キャリバンたちは既にエアリアルによって散々な目にあわされており、待ち受けていたプロスペローと精霊たちに更に散々にこらしめられて参ってしまいました。

第五幕

アロンゾーたちは錯乱したまま森に囚われていました。 その哀れな様をエアリアルから聞いたプロスペローは、彼らを正気に戻して解放するよう命じました。

改めて三人と対峙したプロスペローは、許しを請うアロンゾ―も、悪辣極まるセバスチャンとアントニオも赦しました。 アロンゾーもかつてプロスペローにした不当な仕打ちを詫び、ミラノ公国をプロスペローに返すと言います。

プロスペローはフェルディナントが生きている事を明かし、一行をプロスペローの庵にいる二人の元へと連れていきます。 やがて船で眠っていた船員もやってきて、皆を庵に招いて事の一部始終を話し始めます。 そしてプロスペローはエアリアルを労い、最後の命令として一行のナポリまでの航海を追い風で送り、後は自由に暮らすようにと言いました。

エピローグ(プロスペローの口上)

私は妖精を解放し魔法の杖を捨て、残るは弱々しい己の力を残すのみです。 このまま島に閉じ込められるのかナポリに帰れるのかは皆さま次第です。

しかし私は自分の国を取り戻し、私を欺いたものたちを許しました。 だから皆さまもどうか私を島に閉じ込めないでください。 どうか万雷の拍手を以って私の縛めを解いてください。

皆さまも罪の許しを願われるのであれば、どうか情けで私を自由にしてくださいませ。

感想

テンペストで印象深いのは、プロスペローが全員を赦したことです。 改心したアロンゾーはもちろん、悪辣で反省した様子のないアントニオやセバスチャンのことも、自分を殺しに来たキャリバンのことも赦しました。

なぜ反省していないものまで等しく赦したのかと言えば、エピローグの口上にヒントがあるように思います。 勧善懲悪とは少し違いますが、これはこれでハッピーエンドと言えるでしょう。

この読了感は嵐(テンペスト)の後の晴れやかな空が思い浮かびます。

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