ロミオとジュリエット(シェイクスピア)のあらすじ
ロミオとジュリエットは1595年頃に発表されたシェイクスピアの悲劇です。 シェイクスピア作品の中でも特に有名で、どこかで聞いたことのある名言が沢山出てきます。
いがみ争っている名家の子女が舞踏会で出会い、互いに一目ぼれの恋に落ちてしまいます。 しかし二人の仲が許されない情勢の中、果たしてこの恋はどのような結末を迎えるのでしょうか。
モンタギュー家とキャピュレット家
時は14世紀、イタリアの街ヴェロナにモンタギュー家・キャピュレット家という2つの名家がありました。 両家は互いにいがみ合って一族から召使までが争い、流血沙汰が起きることもありました。
モンタギュー家にはロミオという一人息子がおり、片思いの恋に破れて苦しんでいました。 友人は落ち込むロミオのことをとても心配していました。
そんな折、キャピュレット家にてヴェロナ中の美女を集めて舞踏会を行う知らせが届きます。 友人はもっと良い女性が見つかるからとロミオを誘い、二人は身分を隠して舞踏会へ行くことになります。
舞踏会の夜
舞踏会の夜、ロミオたちは仮面を付けてキャピュレット家へとやってきます。 ロミオがダンスの相手を探していると美しい少女がおり、ロミオは一目ぼれしてしまいます。 その少女こそがキャピュレット家の一人娘ジュリエットでした。
ロミオはジュリエットをダンスに誘い、二人は踊るうちに恋に落ちてしまいました。 音楽が終わると接吻を交わし、家人に呼ばれたジュリエットはその場を離れます。
ほどなくして二人は人聞きに互いの素性を知ることになります。 恋した相手はなんと憎き仇家の跡取りだったのです。
しかしそれを知っても互いの気持ちは変わりませんでした。 ロミオは舞踏会が終わってもキャピュレット家から離れられず、一人でうろついているうちに偶然ジュリエットの部屋のバルコニーの下にやってきます。
バルコニーにはロミオへの許されない愛を一人語るジュリエットがおり、それを聞いたロミオは居ても立っても居られなくなって姿を表します。 そして二人は互いの想いを確認し、愛を誓い合うのでした。
ロミオとジュリエットの秘密の結婚
翌朝、ロミオはロレンス修道士にジュリエットと結婚したいと相談します。 ロレンス修道士は両家のいがみ合いを終わらせる契機となるのを期待して結婚を認め、二人はロレンス修道士の家で秘密裏に結婚式を挙げて夫婦となりました。
ロミオが幸せそうに一人歩いていると、ロミオの親友とジュリエットのいとこが争っていました。 キャピュレット家と和解したいロミオは両者を止めようとしますが、想いは通じずに親友が殺され、激高したロミオはジュリエットのいとこを殺してしまいます。
殺人の罪でロミオは街から追放されることになり、ロミオはジュリエットと離れ離れになるぐらいなら死んだ方がマシだと嘆きます。 しかしロレンス修道士がいずれ戻ってこれるように取り計らうから早まった真似はするなと一旦街を離れるよう説得します。
ジュリエットはいとこが死に夫が追放されることに動揺しましたが、また一緒になれる日を信じてロミオを見送るのでした。
パリスとジュリエットの縁談
キャピュレット夫婦はジュリエットを名門貴族パリスと結婚させることに決めます。ジュリエットは拒みましたが両親に事情を明かす訳にはいかず、パリスと縁を持ちたい両親は結婚を強引に決めてしまいました。
ジュリエットはロレンス修道士に相談すると、ロレンス修道士は一計を案じます。 パリスとの結婚式の日にジュリエットが仮死状態になる薬を飲み、霊廟に葬られた所をロミオに迎えに来させて二人でヴェロナから逃げるよう言いました。
ジュリエットは承諾して薬を受け取り、ロレンス修道士は計画をしたためた手紙を隣町にいるロミオへ渡すよう使者を送りました。
計画の日
パリスとの結婚式の朝、ジュリエットは計画通りに薬を飲んで仮死状態となって発見されます。 キャピュレットとパリスたちは嘆き悲しみ、ジュリエットを棺に入れて霊廟へと運びました。
一方ロレンス修道士の使者はロミオを見つけられず計画は伝わっていませんでした。 そんな中でロミオの従者がジュリエットが死んだという噂があることを伝え、ロミオはもし噂が真実ならジュリエットと一緒に死のうと毒を用意してヴェロナへと向かいます。
ロミオが霊廟にやってくると、嘆き悲しんでいたパリスと鉢合わせてしまいます。 パリスはジュリエットがいとこの死を嘆いて死んだと考え、その原因を作ったロミオをキャピュレット家へと連行しようとします。
ロミオは今はやめろと制止しましたが聞き入れてもらえず、応戦してパリスを殺してしまうのでした。
終焉
ロミオはジュリエットの元へと向かい、冷たくなった唇に口づけを交わします。 そして「君を一人にはさせない、ここで一緒になろう」と毒を飲んで死んでしまいました。
ロレンス修道士が急ぎ霊廟へ向かうと、そこにはロミオが横たわって死んでいました。 「こんなはずじゃなかったのに!」と叫ぶと、ジュリエットが目を覚ましました。
ジュリエットは傍らにいるロミオを見て微笑みましたが、キスをすると唇が冷たいことに気付きます。 ロレンス修道士はひとまず家に来るよう言いますが、ジュリエットは「私は夫とここに残ります」とロミオの短剣で胸を刺してしまいました。
二人の死の真相はやがてモンタギュー家とキャピュレット家の知る所となり、両家は自分達の愚かさを思い知らされ、この悲しい出来事について共に語り合いました。
ロミオとジュリエットの死は両家を和解させ、二人の像がヴェロナの広場に建てられました。人々は像を見ると悲劇を思い出し、心が悲しみで満たされるのでした。
感想
この話は言い回しがとても詩的で面白いです。 「おおロミオ、なぜあなたはロミオなの?」などオシャレな台詞が沢山あり、読んでいて退屈しません。
特に印象に残ったのはロミオがジュリエットへの想いを月に誓った時にジュリエットが「あんな毎日形が変わるものに誓わないで」なんて言った所です。 言い回しが素敵なのはもちろんですが、実際ロミオは舞踏会の前までは別の女性に片思いしていたのが皮肉ですね。
二人の物語は一目ぼれから始まり、刹那的で悲劇的な結末を迎えました。 それ故に二人の想いの美しさが際立つ物語です。