桜の樹の下には(梶井基次郎)のあらすじ

夜の桜

「桜の樹の下には」は1928年に発表された梶井基次郎の短編小説です。 本作は怪談ではありませんが、怪談話でよく聞く「桜の樹の下に屍体が埋まっている」のネタ元とも言える話です。

退廃的な心理を持ち桜の生き生きとした美しさに不安を覚えた「俺」が、桜が美しい理由を語る物語です。

目次 [閉じる]

  1. あらすじ
  2. 感想

あらすじ

俺は桜の美しさが信じられなくて不安だったがやっと理由が分かった。 桜の樹の下には死体が埋まっているんだ。

どんな花でも真っ盛りになると、一種の神秘的な空気をまき散らすものだ。 それは人の心を打たずにはおかない、不思議な生き生きとした美しさだ。

俺の心を酷く陰気にしたのもそれなのだ。 俺にはその美しさが信じられないような物のような気がして不安で憂鬱になった。 しかし俺は今やっとわかった。

この咲き乱れる桜の木の下に死体が埋まっていると想像してみると良い。 死体は腐乱して蛆が湧き、臭くて液がたらたらとしている。 桜はその液を吸って花を作っているのだ。

俺は数日前、交尾を終えて水たまり浮かぶ大量のウスバカゲロウの死体を見て残忍な喜びを味わった。 俺にとって美しい自然はただそれだけでは朦朧としたものでしかなく、惨劇による平衡があって始めて心象が明確になるんだ。

俺はようやく瞳を据えて桜の花が見られるようになったのだ。 今こそ桜の下で酒宴をひらいている村人たちと花見の酒が呑のめそうな気がするよ。

感想

美しい自然を見てもぼんやりとした心象しかなく、惨劇によって平衡が取れないと直視することができない。 そんな「俺」が桜の美しさに対する惨劇として考えたのが木の下に死体が埋まっているという話…ということで良いのでしょうか。

完璧なものや美しいものは、得体の知れない不安や恐怖をも感じさせます。 美しい桜の木の下には死体が埋まっているという論理は、弱い心を安定させる心の機能なのかもしれません。

完璧な人を見ると「あいつは裏で悪いことをしているに違いない」なんて邪推する人がいますが、このような心理が働いているのでしょうか。

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