走れメロス(太宰治)-あらすじと感想

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走れメロスは太宰治の短編小説で、無鉄砲で向こう見ずだけど曲がった事が許せない青年メロスが、人を信じられない王に人間の真実を証明する人間賛歌の物語です。

太宰治の代表作のひとつであり、漫画化や演劇の上演などもされています。 教科書に載っていることもあって太宰作品の中で最も知名度の高い一冊ではないでしょうか。

あらすじ

村の牧人メロスは妹の結婚式の道具を揃えるために街にやってくるも、街は静まり返っており以前とは様子が違うことを訝しみます。 市民によると王が原因で、人を信じられない王が毎日人を処刑していると言うのです。

激怒したメロスは王を打倒しようとするも捕まり、王の前へと連れて行かれます。 メロスは王を罵倒しましたが取り合われず、王はメロスの威勢も磔にされるまでで、そこで泣いて命乞いをするだろう言います。

メロスは「そんなことはしない」と言うも、妹の結婚式に出られない事だけは心残りでした。 そこで親友のセリヌンティウスを人質にすることを条件に結婚式に出るため3日間の猶予を貰い、もし戻ってこない時は代わりにセリヌンティウスが処刑される運びとなりました。

深夜、王城に召されたセリヌンティウスはメロスから事情を聞くと無言で頷き、メロスを抱きしめます。 メロスはその晩一睡もせずに十里の路を急ぎ、翌日の朝に村へとたどり着きました。

メロスは事情を伏せて妹の結婚式を翌日にするように皆を説得しました。 翌日は大雨となるも結婚式は恙なく終わり、メロスは妹夫婦を祝福します。

更に一夜明けて迎えた約束の日の朝、メロスは王の下へと出発します。 しかし道中順調だったのも束の間、前日の豪雨の影響で川が激流となり橋は流されていました。 とても渡れる状態ではありませんでしたが、それでもメロスは約束のために激流の中を何とか渡ります。

渡河に想定外の時間を取られたメロスは急いで街へと向かうも今度は山賊に襲われ、何とか逃げ延びるも疲労困憊して寝転んでしまいます。 そこで一旦は投げ出しそうになりましたが、近くにあった湧き水を飲んで奮起すると再び走り出しました。

日は沈みかけて刑場ではセリヌンティウスの処刑が始まろうとしている中、遂にメロスは王の下へと辿り付きます。 メロスとセリヌンティウスは互いに抱き合い、王は人の信実と己の誤りを認め、民衆は王を称えました。

感想

行きあたりばったりで人間臭いメロスが魅力の作品だと思います。 後先考えずに王宮に突っ込んで捕まったり、いざ処刑される時にやっぱり妹の結婚に出たいと言い出したり、親友を身代わりに結婚式に行ったり。 「結婚式が終わってからやれば良かったじゃないか」と誰もがツッコミを入れたことでしょう。

約束の日にも途中で災難があったとは言え、親友の命がかかってるんだからもっと余裕を持って行けば良かったですよね。 走れメロスは期限ぎりぎりの読書感想文のために読まれることも多いので、そんな人はメロスと自分の姿が重なって見えるかもしれません。

最後の括りの「毎日人を処刑してた王が改心しました。終わり。」ってのも、今まで散々人を殺しておいて改心して終わりで良いのかよって感じでしたね。 まあ民衆からすれば王が改心しただけで儲けものですし、変に心変わりされないように持ち上げるしかなかったのかもしれません。

改めて見てみるとメロス以外もとても人間臭くて良いですね。 そんな善にも悪にもなり切れない人間の代表であるメロスが信実を証明したというのがこの作品の素晴らしい所かもしれません。 あとちょっと遅れてたらどうなってたか分かりませんが…

ちなみに劇中の王ディオニュシオスは、紀元前400年頃にイタリア南部で勢力を誇っていたディオニュシオス1世をモデルにしています。 暴君として名高い人物で他の小説にも登場することがあり、例えばダンテの神曲においては地獄の血の川で苦しんでいます。 覚えておくと何かを読んだ時にニヤリとできるかもしれませんね。

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