レモンには「レモン6個分のビタミンC」が含まれている
食物や飲物に「レモン何個分のビタミンC」という売り文句があります。 ビタミンCが豊富なレモン何個分にもなるぐらい凄いんだぞとアピールする表現ですね。
しかし実はレモンに含まれているビタミンCは、レモン1個分ではなくレモン6個分です。 何を言っているか分からないと思いますが、こうなるのには一応の理屈があるのです。
品質表示における「レモン1個分」のビタミンCは20mg
品質表示における「レモン何個分」という表現は、農林水産省の「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」が元になっています。
ガイドラインは2008年4月に廃止されて以降は業界団体が独自に設定していますが、大体は農林水産省のガイドラインをそのまま踏襲しています。
レモン1個分のビタミンCは、「レモン果汁」に含まれるビタミンCを以下を元に算出しています。
- レモン果実1個の目安重量は食品番号表において120g
- レモン果汁(全果に対する果汁分30%)のビタミンC含有量は100g当たり50mg
120gのレモンに含まれる果汁:120g × 30% = 40g
40gのレモン果汁に含まれるビタミンC:50mg × 40/100 = 20mg
業界団体はこれを根拠としてビタミンC含有量20mgをレモン1個分として品質表示しています。 例えばビタミンCが60mg含まれているジュースなら「レモン3個分のビタミンC」と表示できる訳です。
実際のレモンに含まれるビタミンCは120mg
レモンのビタミンCは何も果汁にしか含まれていない訳ではなく、むしろ果肉や皮の方にこそ豊富です。 そのため日本食品標準成分表においても、レモン果汁とレモン全果(種・ヘタを除く)でビタミンC含有量が変わります。
実際の「レモン全果」に含まれるビタミンCを同様に算出してみましょう。
- レモン果実1個の目安重量は食品番号表において120g
- レモン全果のビタミンC含有量は100g当たり100mg
120gのレモンに含まれるビタミンC:100mg × 120/100 = 120mg
実際にレモンから摂取できるビタミンC量は、レモンをどこまで食べるかに左右されます。 レモンを絞って果汁だけ飲む人は20mgしか得られませんし、丸ごと食べる人なら120mg得られるということですね。
レモンにはレモン6個分のビタミンCが含まれている
レモン果汁に含まれるビタミンCは20mgでしたが、レモン全果に含まれるビタミンCは120mgです。 つまりレモンには「レモン6個分のビタミンC」が含まれているのです。
この「レモン何個分のビタミンC」表記は、レモンに大してビタミンCが含まれていないようも見えてしまいます。 例えば柿100gにはビタミンCが70mg含まれており、同重量のレモンから絞った果汁と比べるとレモン3.5個分のビタミンCです。
こう言われると柿はレモンよりもビタミンCを多く含んでるように思えますが、レモン全果と比べるとレモンの方が多いです。 レモンのビタミンCはレモン6個分なのですからね。
ガイドラインのせいで訳の分からないことになっていますが、レモンにビタミンCが豊富に含まれているのは間違いありません。 レモンは果肉や皮も栄養豊富なので、余さず食べてレモン6個分のビタミンCを摂取しましょう。