食中毒菌は大体が加熱すれば死ぬが冷凍しても死なない

heating

食中毒とは、毒・有害物質・細菌・ウイルスなどを食べて下痢や嘔吐などの中毒症状が出る疾病の総称です。 大抵は細菌やウイルスなどによる「細菌性・ウイルス性食中毒」のことを指します。

食べ物や体内に入っていた菌やウイルスが毒を作り出したり、毒のような働きをすることによって中毒症状を起こします。 大体の食中毒菌や毒は加熱することで殺菌ないし毒を分解できるので、食中毒が流行した際には「よく火を通せ」と言われますね。

菌を倒すなら冷凍でも大丈夫なんじゃないかとか思ってしまいますが、実は食中毒菌は寒さにはすごく強いものが多いです。 冷凍食品の中に食中毒菌がいると、解凍とともに活動を始めることもあるんですよ。

ただし熱に物凄く強い菌もいれば、冷凍すると大体処理できる菌もいます。何事にも例外はあるのです。

食中毒の仕組み

stomach ache

細菌やウイルスによる食中毒には、大きく分けて2通りあります。 病原性を持つ菌が体内で繁殖して起きる「感染型」と、菌が体内で毒素を生成したために起きる「毒素型」です。

菌のような小さい生物が作り出す毒素なので量は少ないですが、毒素型の作り出す毒は凄まじい猛毒です。 特にボツリヌス菌の作るボツリヌス毒素は、サリン・テトロドトキシン・青酸カリなどの著名な猛毒と比べても何十倍も強力です。 少ない生成量でも十分に人を死に至らしめる、恐ろしい毒を作る菌なのです。

感染型も毒素型もどちらも体内で繁殖して増えるため、体内の免疫が対処しきれない数が入ってくると食中毒に発展してしまいます。 有名な食中毒菌は繁殖力が旺盛で、大体が100~1000個も取り込めば食中毒になってしまうと言われています。

1000個と聞くと大量に摂取しなければ大丈夫なように聞こえるかもしれませんが、食べ物に取り付いた状態から繁殖するので1000個なんてあっという間に増えます。 菌は時間が経つごとに倍々で増えていきますからね。

清潔な環境を整え食品の鮮度に気を付けることで、ある程度は食中毒菌を抑制することは可能です。 しかしいくら気をつけても生産・流通の過程で付いたものはどうしようもないので、完全に抑制することはできません。

食品会社などでは衛生管理を徹底していますが、それでも食中毒菌が付いてしまうことはあります。 だからよく加熱=殺菌消毒して食べましょうと言われているのです。

食中毒菌の殺菌方法

Sterilization

食べ物に食中毒菌が付いていたとしても、殺菌消毒してしまえば食中毒にはなりません。 それではどのように殺菌すれば良いのかと言えば、大抵は火(熱)を使います。 生肉の中にサルモネラ菌がうじゃうじゃいたとしても、煮るなり焼くなりすれば問題なくおいしく食べられるのです。

なお冷蔵・冷凍で完全な殺菌はできません。 冷凍は菌を繁殖させないという点ではそれなりに有効な手段で、ある程度数を減らすこともできます。 しかし菌を冷凍してもいわば冬眠状態になっているようなものであり、解凍する過程でも菌が増えていくので解凍したものを生食するのは危険です。

大抵の食中毒菌は十分な加熱で減少・死滅させることができます。 またある程度の菌は免疫で対処できますし、菌の中には繁殖しないと毒性を出さないものもいるので、死滅させなくとも十分なこともあります。 それでは食中毒菌の熱への耐性を見てみましょう。

菌・ウイルス熱への耐性
病原性大腸菌熱にとても弱い
エルシニア菌
腸炎ビブリオ
カンピロバクター
サルモネラ
クリプトスポリジウム
ナグビブリオ熱に弱い
ノロ
黄色ブドウ球菌
ボツリヌス菌熱に強い
ウェルシュ菌
セレウス菌

目安として、熱にとても弱いもの・弱いものは80℃で10分も加熱すれば大抵やっつけることができます。 つまり大抵の食中毒菌やウイルスは普通に調理して火を通せば殺せることが分かりますね。 ただし生焼け・生煮えの場合は中心部まで火が通らずに残ることがあるので、そこは芯まで火を通すように気を付けましょう。

しかし熱に強いものは100℃で数時間の加熱処理を行ったとしても死滅させることは難しいです。 特にウェルシュ菌なんて十分に火の通ったカレーやシチューなどの中でも平気で生きていけます。

加熱は多くの食中毒菌に対して有効な手段ではありますが、全てを処理できる訳ではないことは覚えておきましょう。

とは言ってもそこまで神経質になる必要はありません。 環境を清潔に保ち、食べ物の鮮度に気を付け、食中毒が流行する初夏~夏にはよく火を通して調理することだけ守っていれば滅多になるものではありません。 それにこう言うのもなんですが、どれだけ気を付けた所で食中毒になるときはなります。

ただ気を付ければ予防できることが多いのも確かなので、特定の食中毒菌が流行する兆候を見せた場合は、その菌に対する対策に目を通して対応しましょう。

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