科学者とあたま(寺田寅彦)のあらすじ

科学者とあたまは1933年に発表された寺田寅彦の短編随筆作品です。科学者になるには頭が良いと同時に頭が悪くなければならない理由を説明しています。

この話は科学者に限ったことではなく、色々なことに言えるものだと思います。 頭が良くて頭が悪いとはどういうことか、読めばなるほどと納得できる内容です。

科学者になるには

科学者になるには頭が良くなくてはいけませんが、同時に頭が悪くなくてはいけません。 この二つが一見相反して見えるのは、頭という言葉の定義が曖昧だからです。

正確で緻密な論理を正しく組み立てるという意味では頭が良くなくてはいけません。 しかし常識的な誰もが分かり切ったことを疑い吟味しなくてはならないという点では、頭の悪い人以上に物分かりが悪くなくてはいけません。

頭の良し悪し

頭の良い人はなまじ見通しが利くために山の麓から頂上を眺めただけで難しさを予測して家へと引き返すかもしれません。 頭の悪い人は前途が見えないために楽観的で、難関に遭遇してもどうにかして切り抜けます。どうにもならない難関は稀です。

頭の良い人は考えた事と現実が一致しない時、現実の方を疑う傾向があります。 頭の悪い人は頭の良い人がやるだけ無駄だと判断した試みを続け、その試みを敢えて行った人にしか分からないような解決法を見つけることもあります。

頭の良い人は他人の粗がよく見えるため自分が誰よりも賢いという錯覚に陥りやすく、向上心がなくなり進歩が止まります。 頭の悪い人は他人の仕事が立派に見えてしかもそれが自分にもできそうな気がするので、向上心を持って進歩し続けます。

頭の良い人は自分の仕事の粗も見えてしまい、どこまで研究しても収集が付かず何も発表せずに終わることがあります。 頭の悪い人は大胆な理論を発表して、百の間違いの中にひとつの真実を見つけることもあります。

頭の良い人は仕事を思いついても、頭の中で見通しを立てると大した仕事でないからと着手しないことが多いです。 頭の悪い人はつまらない仕事でもがむしゃらに取り組み、当初予期しなかった重大な発見をすることもあります。

頭の良い人は失敗や危険を恐れて行動ができません。 科学は頭の悪い命知らずの上に築かれたもので、失敗を怖がる人は科学者になれません。

頭が良くて利口な人は先生にはなれても科学者にはなれません。 つまり科学者になるには頭が良いと同時に頭が悪くなければならないのです。

感想

科学者は頭が良いと同時に頭が悪くなければならないとは一見すると矛盾した命題にも見えます。 しかし読んでみると至極もっともなことが書いてありましたね。

ノーベル賞を取った偉大な科学者もこのような話をしていましたし、身近な人の経験談でも愚直さ故に大成することができたなんてのは良く聞く話です。

もちろん頭が悪ければ良いという話ではなく、大切なのは思考と行動のバランスです。 頭良く計画を立て、頭悪く行動しましょうということなのでしょうね。

もしもあなたが頭で考えてばかりで失敗を恐れているのなら、がむしゃらにチャレンジしてみるのも良いかもしれません。 そうやって頭悪く取り組むことで見えてくることもあるでしょう。

B!

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