別種の動物でも似た進化を遂げる「収斂進化」
動物は自分が置かれた環境に適応するために様々な進化を遂げます。 その進化の系譜が動物分類ですが、クジラとカバのように育った環境が違いすぎて別種の動物のようになった奴らもいます。
しかし逆に全く別種の動物なのに、似たような環境で進化した結果、同じような特性や姿になる場合もあります。 これを「収斂進化」と言います。
進化と変化と収斂進化
「進化」とは「変化と自然淘汰」です。 変化は子を産む度に起こりますが、その中でも環境に対してより上手く適応できた有利な変化を進化と言います。
たまたま発生した変化がより環境に適応していたら繁栄しますし、そうでなかった場合は淘汰されます。 そして同じ環境なら特定の特性を持つ動物が有利=繁栄しやすく淘汰されにくいです。
例えば陸上なら足の速さ、水中なら泳ぎの速さなどが共通して有利に働きますよね。 すると全く別の動物でも、共通の特性を獲得する進化の流れができます。
その結果、別種の動物が似たような外見・特性・生態に進化する場合があります。 これを収斂進化と言います。
収斂進化の例
- 海で活動するうちにサメのような外見になったイルカ
- イヌ科でありながらネズミを捕獲するためにネコのような習性を持つキツネ
- 地中で暮らすうちに共通した特性を多く持つようになったアリとシロアリ
- アリを食べるために口先が細くなったアリクイとアルマジロ
収斂進化の話をイルカとサメで掘り下げてみましょう。
イルカとサメに見る収斂進化
イルカとサメは全く別種の動物であり、イルカは哺乳類でサメは魚です。
イルカは元々は陸上動物の出身で、祖先はオオカミのような姿をして陸上で生活していました。 対してサメはイルカが陸上で生活していた頃から今の姿とあまり変わっていません。
それが現在、イルカは見た目サメのような姿になっています。 イルカとカバは比較的近い関係にありますが、カバとサメのどちらがイルカに似ているかと言われたら間違いなくサメです。
これはイルカが海が生活するうちに、サメと同じような外見や特性を獲得したからです。 早く泳ぐのに有利な流線形のボディ、黒い背中と白い腹という海中で保護色となる体色、ヒレと化した手足などなど、まるでサメのようになりました。
イルカはサメと全く別種の動物でありながら、似た特性を持つ収斂進化を遂げた訳です。
イヌやネコや人間だって、頑張って海に適応すれば数千万年後にはサメみたいな体に収斂進化するかもしれません。 そう考えるとロマンがありますね。