性別が変わったり、両性を備えていたり…動物の複雑な性別事情

我々人間の性別はオスとメスに分かれており、生まれてから死ぬまでそのままです。 稀にそうではない人もいますが、本題ではないので割愛させて頂きます。

人間の身の回りにいる多くの生き物も、人間と同じくオスとメスです。 しかし中には変わった性別の仕組みを持つ動物もいます。 そんな動物の性別事情をご紹介します。

雌雄異体

一個体の性別がオスかメスに分かれていることを「雌雄異体」と言います。 聞きなれない言葉ですが、もちろん人間も雌雄異体です。

雌雄異体は「同時的雌雄異体」と「機能的雌雄異体」に分けられます。

同時的雌雄異体

生まれた時に性別が決まって、死ぬまでそのままの性別であることを「同時的雌雄異体」と言います。 我々のよく知る性別の仕組みのことですね。

人間を始めとした、多くの動物や植物が同時的雌雄異体です。

機能的雌雄異体

繁殖期や成熟などのタイミングで性別が変わることを「機能的雌雄異体」と言います。 魚や貝などの海に生息する生き物にたまに見られる習性です。

これは更にメスからオスになる「雌性先熟」と、オスからメスになる「雄性先熟」に分けられます。

雌性先熟

「雌性先熟」は最初はメスとして繁殖活動を行い、大きくなったらオスに変わって繁殖活動を行います。

強いオスが縄張りを持ちハーレムを形成する種によく見られる仕組みです。 これでは小さなオスは繁殖活動に参加できないので、ならば小さいうちはメスで卵を産み、大きくなったらオスに変わってハーレムを作ろうって感じですかね。

モンガラカワハギ、サクラダイなどが雌性先熟です。

雄性先熟

「雄性先熟」は最初はオスとして繁殖活動を行い、大きくなったらメスに変わって繁殖活動を行います。

大きく栄養状態が良い個体の方が沢山の子を産むことができます。 ならば産卵に適している個体がメスになれば良いという、ある意味で合理的なのが雄性先熟ですね。 一夫一妻制の種によく見られる仕組みです。

クロダイ、クマノミ、マガキなどが雄性先熟です。

性別がコロコロ変わる場合も

機能的雌雄異体の性別は成長したら固定されるとは限りません。 種によっては周囲の状況に合わせて、オスになったりメスになったりと性別が行き来する場合もあります。

雌雄同体

一個体がオスとメスの両性を持っていることを「雌雄同体」と言います。 両性を持っていると言っても自分だけで繁殖するのは基本的に無理で、大抵は別個体とペアで繁殖活動を行います。

雌雄同体は活動範囲の狭い種に都合の良いものです。 繁殖活動は当然ですが他の個体とペアで行う必要があります。 しかし活動範囲が狭いと中々出会いがなく、せっかく出会えても雌雄異体だと相手が同性では繁殖活動できません。

しかし雌雄同体であれば相手の性別に関係なく出会いさえすれば繁殖活動が可能です。 少ないチャンスをものにするための性の形と言えます。

雌雄同体として知られているのは、カタツムリやミミズなどです。 どちらも動きが鈍くて活動範囲が狭そうですね。

また雌雄同体の中には、ナメクジのような自分だけでも繁殖可能な種もいます。 ただし単独繁殖可能でも基本的にペアで交配しようとするので、単独繁殖することはそれほど多くありません。

以上、動物の複雑な性別事情でした。

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