クジラもカバもウシも鯨偶蹄目の仲間
動物分類の鯨偶蹄目には、イルカやクジラなど海の動物、カバなどの水辺の動物、ウシやキリンなどの陸の動物など、様々な動物が属しています。 「なんでこいつらが同じ目なの?」と疑問に思うぐらい多様です。
陸にいるカバやキリンと海にいるイルカやクジラが同じ目にいるとはにわかには信じがたいですよね。 でもこれらの動物、実は種としてとても近い関係にあります。
鯨偶蹄目とは
鯨偶蹄目には多種多様な動物が属しています。 本サイトのカテゴリからもその一端が見られますので、確認してみてください。
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鯨偶蹄目この「鯨偶蹄目」という分類は比較的最近できたもので、元はイルカやクジラなどが属する「鯨目」とカバやキリンなどが属する「偶蹄目」に分かれていました。 しかし研究の結果クジラとカバはとても近い存在であることが分かり、合体して「鯨偶蹄目」となったのです。
クジラとカバは種として近い関係にある
クジラやイルカは海で活動している動物です。 肺呼吸なので陸上に上がって即死ぬ訳ではありませんが、まともに活動することは不可能です。
それではクジラやイルカは海に住み陸では活動できないのに、なぜ肺呼吸なのでしょうか。 その理由はクジラやイルカの先祖が陸上で生活していたからです。
鯨偶蹄目は共通の祖先が近い
クジラやイルカの祖先である「パキケトゥス」は、5000万年前に水辺で生活している陸上動物でした。 ちょうどワニのような感じの生活を送っており、水辺に潜んで獲物を狩っていたのです。
こいつが長い年月をかけてじわじわ海洋に進出し、やがて完全に海に適応したのがクジラやイルカです。 一旦陸地に適応して肺呼吸になってから海に戻ったので、クジラやイルカは肺呼吸をしています。
カバの祖先ははっきりしていませんが、パキケトゥスに近い種であると考えられます。 カバはウシよりもクジラの方が近いと言われるぐらいですからね。
そんな訳で鯨偶蹄目は海にも陸にもいて、クジラとカバは親戚みたいな関係なのです。
海でも上手くやっている鯨偶蹄目の動物たち
クジラやイルカは哺乳類であるため肺呼吸を行っており、一定時間(10数分~1時間)ごとに呼吸のため海上に出なければなりません。 当然寝てる間にも酸素は必要なので、ごく短い時間の睡眠を何度も繰り返して休息に充てています。
呼吸の度にわざわざ海上に呼吸に出なければならないのは、海で暮らす生物としては大きなデメリットです。 それにもかかわらず海へ出戻りした鯨偶蹄目の動物たちはとても上手いことやっています。
鯨偶蹄目は海の最強生物
海の哺乳類たちはがっちりした骨格を持っているため、海洋生物の中でも屈指の強さを持っています。
海の怪物と言えばサメが思い浮かびますが、サメは魚なので骨格が軟骨で弱く、丈夫な骨を持つイルカの方が強いです。 他にも海の怪物として名高いダイオウイカは、クジラにエサとして常食されています。
そして同じく鯨偶蹄目のシャチは大海の覇者と目され、海の食物連鎖の頂点にいます。 コイツはサメだろうがクジラだろうが何でも食べ、更に波打ち際にいるアシカを襲って食べたりもする恐ろしい動物です。
世界に広く生息する鯨偶蹄目の動物たち
海の鯨偶蹄目たちは海中で呼吸できないハンデを持ちながらも、それを補って余りある丈夫な骨格で食物連鎖の上位に位置しています。
また陸においても水辺にはカバ、サバンナにはキリン、砂漠にはラクダ、高山にはカモシカ、草原にはウシなどなど、とても広い生息域を持っています。
鯨偶蹄目は世界中に分布しており、もしかすると人間より広い範囲に生息しているかもしれません。 ご先祖さまがよほど優秀だったのでしょうね。