うな重の並・上・特上は質ではなく量

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お店のお品書きではうな重は「並・上・特上」の3品に分かれている場合が多いです。 価格も上・特上は並と比べてかなり高く、さぞかし良いウナギを使っているんだろうなと思いますよね。

でも実はうな重のウナギは全て同じものが使われています。 違うのはウナギの質ではなく量なんです。

ウナギの並・上・特上の違いは質ではなく量

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うな重は並・上・特上とも、一見すると同じ量が提供されるように見えます。 お店によっては提供される容器も同じで、蓋を開けるまで違いが分からない場合もあります。

その割には価格はかなりの開きがあります。 例えば私の近所のウナギ屋では「上」は並の1.5倍、「特上」は並の2倍もの価格設定がされています。 具体的に言えば並・2000円、上・3000円、特上・4000円です。かなり違いますね。

このことから上や特上は並とは違う良いウナギを使っていると勘違いされる場合が多いです。 見た目が同じなら質が違うのだろうという訳ですね。「並は中国産で上は日本産」なんて言う人もいるのではないでしょうか。

しかし実際に違うのは質ではなくウナギの量です。 どの程度違うのかはお店にもよりますが、一般的には以下の通りです。

昨今ウナギの価格は高騰しており、海外産でも1匹1000円以上することも珍しくありません。 ウナギの仕入れ値を1匹1000円と考えても、並でもウナギに1000円分、特上なんてウナギに2000円もかかります。 並と特上の間に価格差があっても致し方なしですね。

うな重を頼む際はウナギ原価計算をした上でどれを選択するか決めると良いかもしれません。 でもお米の量は変わらないから、特上を頼むとご飯が足りない気がするのですが… 私は並ばかり頼むからよく分かりません。

という訳でウナギの並・上・特上の違いは質ではなく量という話でした。

なぜウナギがこんなに高くなったのか

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ウナギの価格は2002年前から2013年までの間に倍以上に高騰してしまいました。 なぜこんなに高くなってしまったのかと言えば、ウナギが絶滅危惧種になるほど減少して獲れないからですね。

河川敷の開発によってウナギの住む環境が壊されてそもそも生息数が減少傾向なのに、乱獲を続けて追い打ちをかけてしまっている訳です。 二ホンウナギの成魚の漁獲量はビークの1961年が3400tあったのに対し、2010年には200tまで落ち込んでしまっています。

このままでは将来的に国産ウナギが絶滅する危険性もあり、とっくに制限なり規制なりが必要な状況のはずなんですけどね。 他に食べるものあるんだから、わざわざ絶滅危惧種を好んで食べる必要はないと思うんですが…

そんな訳で最も多くのウナギが消費される日である土用の丑の日にわざわざウナギを食べなくていいんじゃないかという話をします。

土用の丑の日にウナギを食べる習慣は平賀源内の宣伝文句から

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「うなぎを食べて暑い夏を乗り切ろう」という話自体はかなり古くからあります。 例えば7~8世紀頃に編纂された万葉集には、大伴家持がこのような歌を載せています。

石麻呂に 吾物申す 夏痩せに 良しといふ物ぞ 鰻漁り食せ(石麻呂に夏バテにはうなぎが良いと言われてるから取ってきて食えと言った)

この時点では習慣として食べていたのではなく、夏バテにうなぎが良いと言われていた程度です。 土用の丑の日にうなぎを食べるのが習慣になったのは、平賀源内が考えた宣伝文句が元と言われています。

うなぎの旬は秋から冬で、冬眠や産卵に備えて栄養を蓄えたものが最も美味しいと言われています。 だから逆に春~夏にかけてはあまり売れませんでした。

どうにかならないかとうなぎ屋が平賀源内に相談した所、「本日丑の日」と店先に貼るよう助言されます。 丑の日には「う」から始まるものを食べると良いと言われており、うなぎ、うどん、うさぎ、馬、牛など色々な縁起物がありました。

この宣伝は大当たりしてうなぎ屋は商売繁盛し、他のうなぎ屋も真似して張り紙をするようになりました。 そうして定着したのが「土用の丑の日にうなぎを食べる」習慣という訳です。

源内は1780年生まれなので、200年以上も前に始まった習慣ということになります。 不要な伝統は廃れるのが常ですが、うなぎを食べる習慣が今も続いているのはうなぎ食にメリットがあるからに他なりません。

うなぎは、ビタミンA・BやDHA、亜鉛、ミネラルなどが豊富に含まれており夏バテを解消する効果があります。 万葉集でも詠まれていた通り、実際効果があるんです。

こうして今でも土用の丑の日になると「うなぎを食べて暑い夏を乗り切ろう」とうなぎが売り出されているのです。 ただ夏バテ対策に食べるのもいいですが、本来のうなぎの旬である秋~冬に食べるのもお勧めです。 土用の丑の日のイメージが強すぎるからか、今ではむしろ旬のうなぎが食べられていませんからね。

ただ前述したようにウナギは絶滅を危惧されるほどに数を減らしているので、どうすべきかは少し考えた方が良いかもしれません。 他に食べ物なんていくらでもあるし、ウナギを絶滅させることはないと思うんですが…

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