最強の力士は誰?相撲の雑学

日本っぽい力士

相撲は日本の代表的なスポーツの一つであり、古来から脈々と続く神事でもあります。 日本人にとってはとても身近な競技ですが、意外に知らないことも多いですよね。

今日はそんな相撲に興味が湧くかもしれない、相撲の雑学をお話します。

最強の力士は雷電爲右エ門

雷電爲右エ門の肖像画

相撲の歴史はとても深く、様々な力士が活躍してきました。 その中でも大相撲最強の力士として名高いのが、徳川11代将軍の時代に活躍していた雷電爲右エ門です。

最強と言われる所以は9割6分という高い勝率で、これは200年以上誰にも破られていない大記録です。 現代において史上最強横綱の名高い白鵬ですら、勝率は8割3分程度に留まります。

雷電爲右エ門は他の力士を大きく上回る197cmもの巨体でした。 現代ですらこの体格の力士は稀であり、男性の平均身長が155cmほどの江戸時代においては尚更圧倒的な体格差だったことでしょう。

雷電爲右エ門は21年の現役時代に254勝10敗2分という大記録を作り、今なお最強の力士として伝説に残っているのでした。

相撲の起源

当麻蹴速と野見宿禰

相撲は素手での取っ組み合いが進化したもので、時代と共に様式も進化してきました。 そんな相撲の起源と考えられているのが、日本書記にある当麻蹴速(たいまのけはや)と野見宿禰(のみのすくね)の相撲です。

垂仁天皇が強者として名高かった野見宿禰と最強を豪語する当麻蹴速の二人を呼び寄せ、相撲を取らせる運びとなりました。 勝負は長い蹴り合いの末に野見宿禰が当麻蹴速を蹴り殺して勝利し、この勝負を機に二人は相撲の神として崇められることになったのです。

「蹴り殺した」という辺り現代の相撲のイメージとはかけ離れていますが、相撲も長い歴史の中で変遷していったのでしょう。

現代の相撲においては胸・腹を蹴るのは禁じ手とされていますが、「二枚蹴り」「蹴返し」「蹴手繰り」など足を使った決まり手もあり、足技全てが禁止されている訳ではありません。

土俵の円のズレは水はけを良くするため

屋外の土俵

土俵は円形をしていますが、よくよく見てみると四隅の俵の位置が微妙に外側にずれています。 ここなら場外負けに若干余裕があるので、お得(徳)な俵ということで「徳俵」と言います。

徳俵が設けられているのは、土俵の水はけをよくするためです。 昔の相撲は屋外で執り行われることが多くあり、俵を完全な円形に作ると雨が降った際に土俵に水が貯まってしまいます。 それを避けるために徳俵をずらして、水が流れ出るように作っているという訳です。

また大相撲の土俵中央には食べ物が埋められています。 土俵は場所前に三日かけて作られ、あらかた作り終わると土俵中心に「カヤの実」「洗い米」「勝ち栗」「昆布」「スルメ」「塩」の六品を埋めます。 これらは縁起物であり、神への捧げものです。

相撲は神事であるため、こういった儀式的な要素が多いです。 力士が四股を踏むのも、土中の邪気を払う意図があるんですよ。

アンコ型とソップ型

細身の力士

力士の体型は「アンコ型」「ソップ型」と形容されることがあります。

アンコ型は魚のアンコウに由来し、まるでアンコウのように丸々と太っていることからこう呼ばれるようになりました。 対してソップ型はスープ(soap)に由来し、出汁を取った後の鳥ガラのように痩せていることからこう呼ばれるようになりました。

格闘技は基本的に重い方が有利であり、体重差を是正する措置を取っている場合も多いです。 例えばボクシングは体重別に17の階級を設けて階級別で競われています。

しかし相撲に階級はなく、100kgに満たない力士も200kgを超える力士も同じ土俵で戦います。 重い方が有利なのは変わりなく、小柄なソップ型の力士が大柄なアンコ型の力士を倒すのは難しいことです。

だからこそ小兵が大きな力士を技で制する姿には痛快なものがあり、ソップ型の力士が成績以上の人気を博すこともすばしばあります。

頭にシリコンを入れて新弟子検査を突破した力士がいる

身体測定

力士になるには新弟子検査を受けて相撲部屋に入る必要があります。 中学を卒業して23歳未満であれば受験可能で、審査には体格検査と健康診断があります。

体格検査は167cm・67kg以上が条件です。 これに満たない場合は入門ませんが、体重はともかく身長はどうにもならない人もいますよね。 ちなみに2012年の春場所まではもっと厳しい173cm・75kg以上が条件でした。

身長が足りずにあの手この手で何とかしようとする志望者はいましたが、中でも語り草になっているのが舞の海です。 なんと頭にシリコンを埋め込み、ムリヤリ身長を伸ばして新弟子検査を突破したのです。 突破後はシリコンを除去したので身長は縮みましたが、一度入ってしまえば問題ないのでしょう。

更に昔には朝日山も同様の方法で身長を伸ばして体格検査を突破したのですが、その時代にはシリコンを除去することができませんでした。 だから朝日山が入れたシリコンはそのまま頭の中に残り続け、頭の形が変わってしまったのです。 それほどまでに相撲に情熱を燃やしていたんですね。

このシリコン手術は危険なため現在は禁止されています。 代わりと言っては何ですが体格検査は大らかな判定がされており、身長が足りない場合は髷を結ったり背伸びしたりでかさ上げするのが暗黙の了解で許されています。

力士は車の運転を禁止されている

力士は免許証を取ることは許されていますが、車の運転は禁止されています。 これは交通事故を起こして力士ひいては相撲が求心力を失わないための措置です。

1985年に力士が続けて交通事故を起こしたことがあり、それを契機に力士の運転は原則禁止となりました。 以降も度々力士による人身事故は起きているので完全に守られている訳ではないようですが、発覚すると重い処分が下ります。

行司の苗字が「木村」と「式守」ばかりな理由

相撲の審判を「行司」と言います。 大相撲中継では行司の名前も表示されますが、やけに「木村」と「式守」ばかりです。

これは幕末に行司を務めていた「木村家」と「式守家」にちなんでいます。 行司になるには相撲部屋に入る必要があり、入門先によってどちらの苗字になるかが決まります。

また行司のトップである「立行司」に昇格すると、「木村庄之助」または「式守伊之助」を襲名します。 これは両家の当主が襲名していた名前です。

基本的にこの二人が立行司を務めますが、諸事情により襲名できず空位になることもあります。

行司は差し違えた時に切腹するための短刀を差している

行司の腰には短刀が差されており、これは実際に斬ることもできる本物の真剣です。 しかし戦うためのものではなく、行司が切腹するためのものです。

行司は「軍配を差し間違えたら切腹する」という心構えで試合に臨んでいます。 腰の短刀はその心構えを忘れず、気を引き締めるためのものなのです。

ちなみに軍配差し間違えは時々ありますが、実際に切腹した行司はいません。

以上、相撲の雑学でした。

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