将棋で男性は女流棋士になれないが、女性はプロ棋士になれる

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多くのスポーツは男性と女性が別々に競技を行っています。 野球、サッカー、陸上など色々ありますが、これは男女に身体能力差があるための措置です。 もし純粋に能力で勝負した場合、身体能力に劣る女性はほとんど活躍出来なくなってしまいますからね。

それでは頭の勝負はどうなっているかと言えば、日本で代表的な「頭のスポーツ」とも言える将棋も男女に分かれて勝負を行っています。 「プロ棋士」は男だけ、「女流棋士」は女だけですよね。

しかし実はプロ棋士に性別の制限はありません。 男性が女流棋士にはなれませんが、女性がプロ棋士に挑戦することは可能なのです。

プロ棋士と女流棋士

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将棋のプロは「プロ棋士」と「女流棋士」の二つがあります。 その説明にあたり、まず日本将棋連盟が設置している「研修会」と「奨励会」について説明します。

研修会は将棋を通して少年少女の育成を行う機関で、棋力ごとに下から、F2、F1、E2、E1、D2、D1、C2、C1、B2、B1、A2、A1、Sにクラス分けされています。 15歳以下でA2に昇級または18歳以下でSクラスに昇級した場合、奨励会6級へ編入できます。研修会を経ずに奨励会員になることも可能で、19歳以下でプロ棋士の推薦を受けるか、アマチュア大会で実績のある人が入会試験を経て入ることもできます。

奨励会はプロ棋士の養成機関であり、棋力ごとに下から6級、5級、4級、3級、2級、1級、初段、2段、3段にクラス分けされています。 ここで4段に昇段すれば晴れて「プロ棋士」となれる訳です。

対して女流棋士を目指す場合は、研修会でC1に昇級すると女流3級となります。 そこから女流の公式戦が始まり優秀な成績を収めれば昇級し、女流2級になると晴れて「女流棋士」となります。

女流棋士には当然女性でなければなれません。対して奨励会には性別の制限はなく女性でも入会が可能です。 しかし奨励会に所属している女性はいますが、プロ棋士となった女性は今のところいません。

プロ棋士に女性がいないのは、4段まで昇段できた女性がいないのが理由です。 なおプロになる手前の奨励会3段まで昇段した女性はおり、将来的に女性のプロ棋士が誕生する可能性はあります。

ちなみに奨励会2級以上で退会した女性は、そのままの段級で女流棋士となる権利があります。 プロ棋士になるには「4段」が必要ですが、女流棋士の条件は女流2級以上なので奨励会で言うところの「2級」でもなることが可能です。 つまり同じプロでも、プロ棋士と女流棋士の間には明確なレベルの差があるのです。

女性のプロ棋士がいない理由は?

女性のプロ棋士がいない≒女性の棋力が劣るのは何故なのか、度々考察や議論がされています。 よく理由に挙げられるのは「競技人口の違い説」と「性差による将棋能力差説」の2つです。

将棋を指す人間は男性が圧倒的に多く、その差は数十倍とも言われています。 「競技人口の違い説」は競技人口が多ければそれだけ秀でた人間も沢山入ってくるので男性の方が強いという説です。 まあこれはその通りですよね。

そして度々物議を醸しているのが「性差による将棋能力差説」です。 つまり体を使うスポーツと同じように将棋も性差によって男性の方が能力が高いのではないかという話です。

男性の方が優れた棋士が多いのは競技人口差で説明できますが、何人もの将棋エリートの女性たちが未だにプロ棋士に一人も届かないのは競技人口だけの問題なのか微妙です。 女性が奨励会に少ないとは言ってもいない訳ではないですし、その誰もが4段まで昇段できないのは別の理由があるかもしれません。 もしかしたら性差による脳構造の違いや、女性特有の実力を出せない期間が成績に影響している可能性はあります。

しかしこれらはあくまで仮説として言われているだけなので、お間違いなきよう。

将棋のプロへの道

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将棋の段位には大きく分けて「プロ棋士」「女流棋士」「アマチュア」の3通りがあります。 プロ棋士の段級はそのまま「〇段(級)」と表現するのに対し、女流棋士は「女流〇段(級)」、アマチュアは「アマ〇段(級)」と表現します。 これら段位の強さは統一されておらず、同じ段位でも強さはアマ<女流<プロの順に強くなります。

例えば奨励会の最下級である6級はアマ3~4段相当と言われています。 6級と聞くとなんだか弱そうに聞こえますが、アマチュア大会の県代表クラスの実力がある訳です。

そんな将棋の猛者たちがひしめく奨励会で実力を付けて勝ち上がり、4段まで昇段できればプロになれます。 しかし昇段には年齢制限があり、23歳までに初段、26歳までに4段になれなかった場合は退会となります。

子どもの頃から全てを将棋に賭けた将棋の麒麟児たちが夢破れて退会となることも少なくないのです。 奨励会入会者のうち4段まで上がってプロ棋士となれるのは5人に1人程度しかいません。

また四段まで昇段してプロになれたとしても、成績が残せなければ「フリークラス」という順位戦に参加できないクラスに降格します。 棋士の給料の多くが順位戦によるもので、フリークラスでは殆ど基本給しか貰えません。 フリークラスの基本給は月10万円なので、年収は120万円とアルバイト並の給料になってしまいます。 (※プロの方は講演・指導・イベントなどでも稼ぐので、実際はもう少し多いですが)

最近はプロ棋士を目指している・あるいはプロ棋士となってからも高校・大学に進学する方も多いです。 進学すれば当然ですが将棋に割ける時間が減るので、棋士として好ましいことではありません。

しかし将棋に全てを賭けてもプロになれなかった・あるいはプロにはなれたけど大成できずに退会となった場合、普通の勤め人として働くことを考えなければなりません。 もし全てを将棋に捧げて4段に昇段できないまま26歳で奨励会退会となった場合、中卒で職歴なしの26歳となってしまいます。 そこから次の道を探すのは中々難しい事でしょう。

プロになれるのは奨励会員のたったの2割であることを考えれば、プロになれなかった時の事も考えておかなければなりません。 昔は高校に進学することも珍しかったようですが、近年棋士の高学歴化が進んだのはこんな事情があります。

こんな厳しい競争を勝ち抜いたのがプロ棋士で、そして本当の競争が始まるのはプロになってからとも言えます。 棋士とは厳しい職業ですね。

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