サマータイム切り替え時の双子は次子が先に生まれたことになる
高緯度の国には夏期間の時刻を通常より少し前倒しにする「サマータイム」という制度が採用されていることがあります。 日本では導入されていませんが、導入を検討する話がたびたび持ち合がっていますね。
このサマータイムのちょうど境目で双子が生まれると、後から生まれた方が先に生まれたことになるなんてこともあり得ます。 この場合はどちらが兄になるんでしょうね?
サマータイムの境目の双子の扱い
サマータイムとは
サマータイムとは夏の日の出が早い時期には時刻を1~2時間ほど早める制度で、日光が出ている間に活動しようという趣旨のものです。 明かりが節約できて省エネになる、涼しい時間に活動する、終業後の余暇時間を増やすなどの目的で導入されています。
サマータイムは切り替え日に時計を1時間ずらすことで実現されています。 例えば2018年のイギリスではサマータイム開始日の3月25日の2時に時計を1時間進めて3時とし、サマータイム終了日の10月28日の3時になったら時計を1時間戻して2時にします。
しかしこの切り替えを跨ぐような処理は何かおかしなことになりそうですよね。 そんなサマータイム切り替え時に双子が生まれた時の話をします。
サマータイム切り替え時に双子が生まれたらどうなる?
サマータイム開始日の1時55分に第一子が産まれ、その5分後に第二子が産まれたとします。 第一子の出産時刻は1時55分ですが、第二子の出産時刻は3時00分となります。 とてもスムーズに出産しているのに、ちょっと時間が空いたような印象になりますね。
そしてよりおかしなことになるのがサマータイム終了日の出産です。 2時55分に第一子が産まれ、5分後に第二子が産まれたとします。 第一子の出産時刻は2時55分ですが、第二子の出産時刻は2時00分となります。 誕生時刻だけ見ると長子が次子より後に生まれたことになってしまっています。
アメリカには実際にサマータイムの切り替え時に生まれた双子の兄弟がいて、実際の兄弟関係と書類上の出産時刻が逆転してしまったそうです。 一体どちらが兄になったんでしょうね。
サマータイム導入にメリットはない
日本においてもサマータイムの導入は過去数回議論になっていますが、効果の疑問視や導入コストの問題で見送られています。 ITを中心とした導入コストがとんでもないことになるのが見送られた主要因です。
システムをあまり知らない人からすれば「時計を1時間ずらすだけでなぜそんなにコストがかかるんだ」ぐらいの認識かもしれませが、システムにとって時刻を1時間ずらすというのは根底を揺るがすような大変な事態なのです。 豊富なノウハウを持つアメリカがサマータイム期間を四週間延ばしただけの対応でも3.5憶ドル以上のシステム改修費用がかかったと言われており、日本が新規導入する場合はこの何倍もの費用がかかると試算されています。
そんなサマータイムは世界的に廃止傾向にあります。 統計調査によってメリットと考えられていた効果は大したものではなく、逆に健康被害や交通事故を増やしていることが分かってきたからです。 EUでは2021年に廃止する方向で調整されていますし、アメリカでもサマータイムを廃止すべきとの議論が度々巻き起こっています。
日本でも導入する話が挙がって度々議論になっていましたが、これでもうサマータイム導入なんて話は出なくなるでしょう。 …出なくなりますよね?