果物と野菜で一番糖度が高いのはニンニク。しかもぶっちぎり。
甘い果物・野菜を思い浮かべて下さいと言われた時、何が思い浮かぶでしょうか。 バナナ、スイカ、メロン、イチゴなど、この辺りを思い浮かべる人が多いと思います。
人の舌が実際に甘いと感じるのはこの辺りですが、実はこれらの倍は糖度を持つ野菜があります。 最も糖度が高い農作物は意外にも「ニンニク」なのです。
果物や野菜の甘さの指標「糖度」
糖度とは
糖度とは果汁の中にどれだけ糖分が含まれているかを示す指標です。 野菜や果物の甘さを示す目安として使われています。
甘けりゃ良いってものではありませんが、甘い果物や野菜において糖度は重視されています。 よくテレビ番組でスイカやメロンの糖度を測って「このスイカはこんなに甘い!」なんてことをやってますよね。 高級品ほど糖度が高くなる傾向もあります。
なお実際に舌で感じる甘さは糖度以外の要素にも左右されます。 例えば酸っぱさは甘さを阻害するため、酸度の高い柑橘系果実やレモンは糖度が高い割に甘さを感じません。
果物・野菜の糖度
一般的な果物の糖度は大体以下の通りです。 糖度は品種や収穫時期によってもばらつくので、大雑把な目安として見てください。
食べ物 | 糖度(度) |
---|---|
バナナ | 20 |
ぶどう | 16 |
柿 | 16 |
さくらんぼ | 15 |
メロン | 14 |
りんご | 14 |
イチゴ | 12 |
スイカ | 12 |
なし | 12 |
みかん | 11 |
レモン | 10 |
表から一般的に流通している果物の糖度は10~20の間ぐらいであることが見て取れます。 モノによっては糖度20を超えるものもありますが、高くてもせいぜいその辺です。
甘いイメージの果物でもせいぜい糖度20なところを見ると、野菜や果物の糖度の限界はこの辺にあると思うかもしれません。 しかし実はこれらの糖度を大きく上回る野菜があるのです。
その野菜は意外や意外、ニンニクなんですよ。
ニンニクの糖度は40度!
ニンニクの糖度はそんじょそこらの果物を大きく上回り、30度は当たり前、中には40度を超えるものも存在します。 つまりニンニク果汁には果物の倍以上の糖分が含まれているのです。
ニンニクの糖度が高いのは「凍らない」ため
ニンニクは秋に植えて初夏に収穫する農作物です。 日本全国で作られていますが、中でも圧倒的な生産量を誇るのが青森県です。
青森県は本州最北端に位置し、冬の平均気温はマイナスになります。 そんな青森の厳しい冬でも凍らないように、ニンニクは糖度を上げて身を守っているのです。
冬を越す野菜は糖度を上げて寒さから身を守ろうとする性質を持つものがあり、その中でもニンニクは最高の糖度を持つ野菜なのです。
ニンニクが苦いのは硫化アリルのせい
ニンニクは甘い野菜とは言っても、食べても全く甘味なんか感じません。 苦みと辛味がほとんどで、これが果物の倍の糖度を持つなんて言われてもとても信じられませんよね。
甘さを感じないのはユリ科植物に含まれる「硫化アリル」による刺激が強すぎるのが原因です。 タマネギなどにも含まれていますが、ニンニクは更に硫化アリル含有量が多いので甘味を感じるどころではありません。
硫化アリルは多くの菌、昆虫、動物にとって毒であり、イヌやネコが食べると中毒症状を起こしかねない代物です。 人間が食べられるのは霊長類が持つ植物毒への耐性がとても高いためです。
そんな硫化アリルに守られているから、ニンニクは糖度の割に甘く感じないのです。
硫化アリルを取り除く調理法
調理によって硫化アリルを取り除けば、ニンニク本来の甘さを感じることができます。 硫化アリルは揮発性で水にも溶けやすいので、薄くスライスして空気や水に晒せば抜くことができます。
また加熱すると糖と反応して甘味になるので、煮る・焼く・揚げるなどの加熱調理によっても甘さを引き出すことが可能です。 ニンニクの甘さを実感したい時は、焼きニンニクや揚げニンニクがお勧めです。
硫化アリルの秘められたパワー
硫化アリルにはビタミンB1の吸収を高める効果があり、疲労回復・心身の活性化・集中力アップなどに繋がります。 そのため「ニンニクは元気の素」なんて評されています。
また血液をサラサラにして毒素を排出したり、抗酸化作用、抗ガン作用などがあることも分かっています。 ニンニクは健康にも良い食べ物なのです。
ただしニンニクの食べ過ぎはお腹を壊したり粘膜へのダメージにも繋がります。 ほどほどに食べましょう。