大根おろしは怒りながら擦ると辛くなる

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「水に感謝すると美しい結晶になる」「果物は歌いながら収穫すると美味しくなる」のような話を聞いたことはありますか? この辺の話に科学的根拠は無く、特に水の結晶云々の「水の伝言」はデマとして有名です。

そうした話のひとつに「大根おろしは怒りながら擦ると辛くなる」があります。 これも無茶苦茶なデマ…と思いきや、これは本当の話なのです。

大根おろしが辛い理由

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生で大根をかじった瞬間には辛さを全く感じませんが、そのままモシャモシャ噛んでいると徐々に辛くなっていきます。 これは大根の細胞が壊れる時に化学反応が起きてアリルイソチオシアネートという辛味成分を持つ物質が生成されるからです。 アリルイソチオシアネートは普段は大根の中に存在せず、細胞が壊れた時にシニグリンとミロシナーゼが反応することで生成されます。

アリルイソチオシアネートは大根が草食動物から身を守るために身に着けたと考えられています。 草食動物が大根を齧ると化学反応が起きてアリルイソチオシアネートが生成され、草食動物が辛さを感じて「これは食えない、毒だ」と認識する訳ですね。

アリルイソチオシアネートは細胞が壊れた時に生成されるので、大根おろしを作った時にも生成されます。 というか大根おろしは最大限にアリルイソチオシアネートを引き出す調理方法と言えます。

怒りながら擦った大根おろしが辛い理由

怒りながら大根おろしを擦ると扱いが乱暴になり、細胞が沢山壊されます。 これによってアリルイソチオシアネートが沢山生成されて辛くなるという訳です。

あまり力を入れずに丁寧に円を描くように擦っていけば辛さの少ない大根おろしを作ることができます。 「大根おろしが辛くなりすぎる」なんて人は丁寧に擦ることを心がけてください。

まあどんなに辛い大根おろしでも30分も置いておけば辛さは大分抑制されますが…

大根おろしは時間が経つと辛くなくなる

アリルイソチオシアネートは揮発性なので、暫く置いておくと蒸発します。 辛さのピークは大根おろしを作って数分で、以降だんだんと蒸発して辛みがなくなっていきます。

もし大根おろしが辛くて食べられないのならば、ちょっと置いておけば大分辛さは抑制されます。 30分も置いておけば大分辛さがなくなり、1時間もすれば辛さはほとんどなくなるでしょう。

ちなみにワサビやカラシが辛い理由も同じアリルイソチオシアネートです。 実はワサビやカラシナも素の状態では辛み成分はなく、細胞が壊れて化学反応が起きることによって辛くなるんですね。

だからワサビを直接バリバリ食べても、それほど辛味は感じなかったりします。 ただし食べているうちに段々辛くなっていくので、あまりお勧めはしませんが…

辛い大根おろしの方が健康に良い

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辛み成分であるアリルイソチオシアネート、健康に良いことで有名です。 「大根おろしに医者いらず」なんて言葉がありますが、これはアリルイソチオシアネートのおかげなのです。

アリルイソチオシアネートには抗菌・抗ガン・抗酸化・脳血流改善などの効果があります。 辛ければ辛いほどアリルイソチオシアネートが豊富な証拠なので、あえて辛い大根おろしを作って食べるのも手かもしれませんね。

大根自体の栄養もカリウム、カルシウム、ビタミンB、ビタミンC、ジアスターゼ、食物繊維などなど飛びぬけて何かが多い訳ではありませんがそれなりに豊富です。 中には調理によって減少する栄養もあるので生食がおすすめで、栄養的に見ても大根おろしは優れています。

食事に辛い大根おろしを添えれば医者いらずです。 あなたの食卓にもおひとついかがでしょうか。

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