「御社の志望理由は家から近いからです」は合理的
皆さんは通勤や通学にどれぐらいの時間をかけているでしょうか。 日本人が通勤通学にかける平均はおよそ片道40分、往復80分だそうです。
これが積もり積もると年間300時間ほどを通勤通学に費やしている計算になります。 特に都心部への通勤電車は混雑で不快感が酷く、通勤だけで消耗してしまいますよね。
それを考えると「御社の志望理由は家から近いからです」って理由は合理的に見えてきます。 少し通勤通学について掘り下げてみましょう。
日本人の平均通勤・通学時間
NHKの「2015年 国民生活時間調査」によると、通勤(往復)にかける時間の平均は以下の通りです。
- 往復の通勤時間(行為者平均時間)は1時間19分
- 往復の通学時間(行為者平均時間)は1時間19分
学生も社会人も通勤にかけている時間平均は同じ1時間19分のようなので、切り良くして片道40分、往復80分として考えます。 これを学生は年間200~250回、社会人は年間250回ぐらいする訳です。
つまり年間の通勤・通学に使う時間は 80 × 250 = 20000分 = 約333時間 となります。 こう考えると結構な時間が費やされていますね。
もちろんその間に何もしない訳ではありません。 雑談したり、雑誌やネットなどを見たり、ゲームをしたり、うたた寝をしたりと人それぞれです。 しかし「時間を有効に使えている」と胸を張って言える人はそう多くないでしょう。
これが席に座ってじっくり何かに取り組める環境ならまだマシですが、大抵はそうではありません。 私が山の手線で東京や新橋に通っていた頃はギュウギュウに詰められて不快感に耐えながらの通勤でした。 その間はスマホを眺めていましたが、内容は碌に頭に入っていません。
それが年間300時間以上ある訳です。 300時間といったらおよそ半月に相当する時間、稼働時間で考えればほぼ1か月分の時間ですよ! 時給1000円で働いても30万円は稼げてしまいます。
特に満員電車を通勤に使っている人は、通勤に仕事以上の苦痛を感じる人も少なくないでしょう。 給料が出る訳でもないのに苦痛に耐え、会社に着く頃には既に疲れ果ててしまっています。
「もっと近くに学校/職場があれば…」と考えながら今日も日本人は通勤通学している訳です。 これをどうにかできれば労働時間の問題が解決して生産性も向上しそうなものですが…
ちなみに世界的な通勤平均時間は「32.5分」で、それと比べると日本はやや長いぐらいですかね。 セネガルなんて平均が12分ぐらいみたいですが、これは綿花などの作物栽培が主要産業であることが要因です。 先進国ではある程度の通勤時間は避けられない問題なんですかねえ…
「御社の志望理由は家から近いからです」は合理的!?
就活生の悪い志望動機の例として「御社を志望したのは家から近かったからです」というものがあります。 しかしこれ、よくよく考えると実に合理的な理由ですよね。
片道1時間かけて通勤する場合、年間500時間が通勤に持っていかれます。 500時間 = 21日 で、1年のうち丸々21日は通勤に費やした計算になります。 これを40年続けた場合、通勤期間は丸2年以上という膨大な時間になります。
それが15分で職場に付く会社であればその3/4は浮きます。 双方を比較した場合、その人生で通勤にかける時間の差はなんと1年半にも及びます。
それを考えると「家から近かったから」という志望動機はとても合理的なものに見えてきますね。 志望動機として口に出すのはアウトかもしれませんが志望理由としては正しい訳です。「給料が高いから」と同じですね。
会社の志望動機として給料は重視されますが、対して通勤時間は疎かにされている気がします。 しかし前述のことを考えればもっと重視されても良い気がしますよね。
もっともこれは転勤や引っ越しがない場合に限ります。 また人材派遣形態の企業の場合、職場がコロコロ変わって本社に近くても意味がないケースもあります。 通勤時間は中々悩ましい問題ですね。