ギロチンが開発されたのは、なるべく受刑者を苦しめないため

guillotine

受刑者を台の下に固定し、台の上に付いている刃を下ろして首を刎ねる処刑具ギロチン。 とっくの昔にギロチン刑は廃止されているのに、現代においても知名度の高い処刑道具です。 漫画の影響なんでしょうか?

見るからに恐ろしいものなんですが、ギロチンはむしろ受刑者を苦しめないために開発された経緯があるのです。 処刑される時に一瞬で首を刎ねられるのと何度も切り刻まれるの、どちらがマシかを考えれば…ねえ?

ギロチンは受刑者に余計な苦痛を与えないために作られた

guillotine

その昔フランスでは貴族が死刑になると斬首刑に処され、固定した囚人の首を狙って剣や斧を振り下ろして首を飛ばすのが一般的な貴人の処刑方法でした。 (なお一般人は絞首刑に処されていました)

斬首刑を行う場合、首にある丈夫な頸椎を切らなければなりません。 切れ味鋭い包丁でも骨付チキンを切ることすら難しいことから分かるように、太い頸椎を一刀の元切断するのは技量が必要です。 切り込んでも上手くいかずに何度も切り付けるような事態になるのも珍しくなく、楽に死ねたのは敏腕処刑人を雇うだけの金がある人達だけでした。 その凄惨な光景は想像するだけで血の気が引きますよね。

そんな斬首刑に胸を痛めて何とか楽に死ねる仕組みを作ろうとしたのが政治家ジョゼフ・ギヨタンです。 ジョセフはフランス議会に働きかけ、楽に死ねる方法としてギロチンの導入を提案します。 当初は一笑に付されましたが、やがてその熱意が通じてギロチンは1792年にフランスの正式な処刑様式となります。

新たに処刑道具となったギロチン、期待通りにあっさりと受刑者の首を刎ねます。 こうして受刑者に余計な苦しみを与えることなく処刑できるギロチンの導入は、一応成功したと言えるでしょう。 誰だって楽に死にたいですからね。ちなみにギロチンの名前はギヨタンの子を意味する「ギヨティーヌ」が由来になっています。

その光景に後ろめたさも軽減されたのか、フランスでは次々とギロチンへと受刑者が送られるようになりました。 権力者の趨勢が変わる度に反乱分子がギロチン台へ送られ、その様は「ギロチンの嘔吐」と呼ばれるほどでした。 著名なところではルイ16世やマリー・アントワネットなどもギロチンによって生涯を終えています。

ギロチンは原則公開処刑で、終いにはギロチンでの処刑見物が娯楽として楽しまれるようになります。 民衆のガス抜きに使われていたのですね。

そんなギロチンはフランスでは1981年に死刑制度の廃止と共に廃止、他にもギロチンを採用していた欧州各国やフランスの植民地なども同じような時期に使用を止めています。これはギロチンが問題視されたというよりも、死刑制度そのものを廃止又は実質的に廃止したことが大きいです。

ギロチン関連のよくある誤情報・デマ

「ジョゼフはギロチンを開発して最後はギロチンに処された」というものがあります。 しかしジョゼフはあくまでギロチン刑に関する法整備をした人物であって、ギロチンを開発した訳ではなく、またギロチンで処刑された訳でもありません。 もっと昔から似たような処刑道具は存在していました。

またギロチンが楽に死ねるか疑問に考えた人が首を切った後に何回瞬きをできるかを実験して10回以上を記録し、それで楽に死ねないと分かってギロチンの使用をためらうようになったなんて話もありますが、これも出所が不明でデマの疑いが強いです。なんかギロチン関連デマ多いですね。

私はこの一連のデマっぽい話を昔放送されていたテレビ番組「特〇リサーチ」で見ました。 当時見た時はあの番組凄く史実っぽく見えたんですが…そういえばネズミの集団自殺の話もあの番組で見た気がしてきました。 デマばっかりじゃないか!〇命リサーチ!

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