鳥目の鳥はごく一部で、大体は夜でも活動できる
暗い場所で物が極端に見えなくなる病気を「夜盲症」と言います。 夜盲症は鳥のように夜ものが見えなくなることに例えて「鳥目」とも言われます。
しかし鳥が夜に目が見えなくなるとしたら、フクロウやヨガラスなどの夜に活動する鳥の存在が奇妙に見えますよね。 眼は見えなくても音だけで周囲を把握している?まあ聴力で知覚を補うのも夜行性の鳥の特徴ですが、コウモリのように音だけで活動できる訳ではありません。 多くの鳥は夜でもちゃんと物が見えているんです。
多くの鳥は鳥目ではない
鳥は日中に活動するイメージが強いです。 このイメージは大よそ正しく、昼行性の鳥の方が夜行性の鳥よりも圧倒的に多いです。
このイメージや「鳥目」という言葉もあって、多くの鳥は夜には活動できないと思っている人も多いです。 フクロウなどの一部の夜行性の鳥は例外的な存在で、大抵の鳥は夜にはまともに物が見えずに活動できないと考えている訳ですね。
まあフクロウは実際特別な仕組みを持ってはいますが、しかし夜活動する鳥が特別なのかと言えばそうでもありません。 多くの鳥は暗所でもある程度の視力を持ち、昼行性の鳥ですら夜でも人間以上に見えている鳥の方が多いです。 つまりどちからと言えば鳥目の鳥の方が珍しい存在なのです。
鳥目ではない鳥の方が多いのに何故「鳥目」なんて言葉が出来たのかと言えば、最も身近な鳥が鳥目の代表格だったことが原因のように思います。 そいつの名はニワトリです。
ニワトリは世界的に代表的な家禽であり、人類にとって最も身近にいる鳥のひとつです。 そしてニワトリは鳥目であり、夜間や暗所では視力が著しく下がってまともに活動できません。 そんなニワトリを見て「ああ鳥は暗い場所では目が見えないんだな」とニワトリの習性を鳥類全体の傾向と勘違いして「鳥目」なんて言葉が生まれたんじゃないでしょうか。
もし鳥目が鳥類全体の傾向だった場合、夜間に襲われ放題になってしまいます。 捕食者が近くまで来ても気付くことができず、また気付けたとしても飛んで逃げることができません。 これでは簡単に絶滅してしまいますよね。
実際の所は大抵の鳥が夜でも人間以上の視力を持っているし飛ぶことだってできます。 ただ多くの鳥にとって鳥目とは言わないまでも日中と比べて夜間の視認性は下がり、日の光があるうちに活動した方が都合が良いです。 だから捕食者に狙われる・大量のエサが必要などの差し迫った事情がなければ夜に活動しないだけなのです。
また渡り鳥が長距離の渡りを行う際には夜に移動することが多いです。 これは夜の方が涼しいため長時間の飛行でも疲れにくいのと、天敵である猛禽類の襲撃を避けるのが理由です。
ちなみに夜行性の鳥は眼のレンズが大きく、少ない光でも物をはっきりと見る事ができます。 夜行性の代表格であるフクロウの暗所における視力は人間と比べ物にならないほど上です。
そんな訳で鳥目の鳥はニワトリなどごく一部でしかないという話でした。