「1日30品目」にそれほどの意味も効果もない
栄養バランスの取れた食事の目安として、食品の品目数を増やすのが良いとされることがあります。 「1日30品目食べましょう」なんて良く聞きますよね。
確かに品目数を増やすと栄養が偏りにくくなる傾向はありますが、しかし30品目に深い根拠はありません。 変にこだわると逆にバランスが崩れる原因にもなるのです。
1日30品目は1985年に厚生労働省が作った標語
我々は生きていくために様々な栄養を必要としています。 健康に生活するにはエネルギー、タンパク質、脂質、糖質、ミネラル、ビタミンをバランス良く採らなければなりません。
食品に含まれる栄養は食品によって違います。 例えばご飯やパンは炭水化物、肉や魚はタンパク質、野菜や果物はビタミンと含まれる栄養に差があります。 更に細かく栄養を分類すれば、ビタミンAはにんじんやレバー、ビタミンBは豆や肉…と言った具合にその栄養を多く含む食品もまた細かく分類されます。
何か一つの食品だけ食べて生活すれば当然栄養が偏ります。 たから複数の食品からバランス良く栄養を摂取しなければなりません。
そこで1985年に厚生労働省は健康作りのための食事目標として「1日30品目」という標語を作りました。 1日に30品目食べるのは結構大変であり、これだけ色々食べれば確かにバランス良く栄養を摂取できそうですよね。
しかし実はこの「1日30品目」という品目数に深い根拠はありません。 全く効果がないとは言いませんが、少なくとも数字に拘る必要はないのです。 厚生労働省も2000年にはこの標語を使わなくなりましたが、しかし1日30品目信仰は根強く残っています。
品目数のために色々なものを食べても、必ずしも栄養バランスが取れるとは限りません。 肉や魚を食べなければタンパク質が不足しますし、野菜を嫌えばビタミン不足になります。
本当に大切なのは栄養をバランスよく摂取することであり、1日30品目はその手段でしかありません。 栄養バランスの取れた食事が5品目で作れるのならば1日5品目で十分なのに、いつの間にやら「1日30品目食べればOK」「品目数が少ないのは悪いこと」と考える人を見るようになりました。
また1日30品目を目標とするあまり、食事を過剰に食べるケースも問題になっています。 食べすぎれば当然太ってしまいますし、肥満は病気のもととなります。 栄養バランスの良い食事をする指針としての1日30品目のはずなのに、こうなると本末転倒ですね。
手段と目的を履き違えず、栄養バランスの良い適度な食事を心がけましょう。
6群からバランス良く食べよう
各種食品を主に含まれる栄養の観点から六つのグループに分ける考え方があります。
群 | 食品 | 主な栄養 | 効果 |
---|---|---|---|
1群 | 肉、魚、卵、大豆など | タンパク質 | 体の元になる |
2群 | 乳・乳製品、海藻 | カルシウム | |
3群 | 緑黄色野菜 | カロチン | 体の調子を整える |
4群 | 淡色野菜、果物 | ビタミンC | |
5群 | 穀物類、いも類、砂糖 | 糖質 | エネルギーになる |
6群 | 油脂、脂肪の多い食品 | 脂肪 |
この各群からバランス良く食品を選べば、それなりに栄養バランスの取れた食事になります。 これだけで完全にバランスが取れる訳ではありませんが、少なくとも1日30品目よりは分かりやすくバランスが取れます。
まずは6群からバランス良く食べることを心がけてみましょう。 慣れたら更に各群の食材に含まれる栄養を覚えて、より高度な栄養バランスの食事になるよう心がけると良いでしょう。