タチウオは太刀に似ているから「太刀魚」
細長く銀色に輝く体のタチウオ、水族館ではソヨソヨ立ち泳ぎしている姿を見ることができます。 このタチウオの立ち泳ぎを見た人は「ああ、立ち泳ぎしているからタチウオなのか」と思うことでしょう。
しかしタチウオの名前の由来は「立ち魚説」ではなく、太刀に似ているからタチウオの「太刀魚説」が有力です。 タチウオの名前の由来についてお話します。
立ち泳ぎしてるから立ち魚説
タチウオはまるで人間の立ち泳ぎのような特徴的な泳ぎ方をします。 立ち泳ぎする魚は珍しく本種以外ではとんと聞かないので、「立ち魚」転じて「タチウオ」と呼ばれるようになったというのが立ち魚説です。
緩やかな流れの場所では、タチウオが群れで立ち泳ぎをしていることもあります。 そんな幻想的なタチウオの立ち泳ぎを見た人が「立ち魚」と名付けたと考えると説得力はあります。
しかし水族館でタチウオを観察できる今ならともかく、昔の人々がタチウオの立ち泳ぎを観察できたとは考えにくいです。 江戸時代には太刀魚と呼ばれていたそうなので、立ち魚説は最近できた後付けと考えられています。
タチウオが立ち泳ぎする理由
タチウオは泳ぎがあまり上手ではなく、エサの小魚やイカに泳いで追いつくことができません。 なので目立たないように立ち泳ぎしてじっと待ち構えて、頭上にエサが飛び込んできたらいきなり襲い掛かる待ち伏せ型の狩りを得意としています。
タチウオに光が当たると銀色に輝いて目立ちますが、立ち泳ぎをしている際に上方から見ても光がほとんど反射しません。 だから立ち泳ぎするのは獲物を待ち伏せする際に身を隠すためです。
もちろんタチウオは横向きに泳ぐこともできます。 移動する際には横向きですし、流れの速い場所では立ち泳ぎしません。
太刀に似てるから太刀魚説
タチウオは細長く銀色に輝く体を持ち、その姿はまるで太刀のようです。 だから「太刀魚」と呼ばれるようになったというのが太刀魚説です。
タチウオの体表は銀色に光り輝いているのは、体表を「グアニン」という生体物質の層が覆っているためです。 タチウオは体表に鱗がなく、代わりにグアニンで体を保護しています。
細長くグアニンに保護され銀色に輝く体はまるで太刀のようであり、そこから太刀魚と呼ばれるようになった訳です。
タチウオは漢字で「太刀魚」と書きますし、また外国でも「カットラスフィッシュ」とか「サーベルフィッシュ」と呼ばれています。 こちらの説の方が信憑性が高いですね。