動物の目が暗所で光って見えるのはタペタムによる光の反射
犬や猫が暗い場所にいる時、目だけが光って見えることがありますよね。 写真に撮った時など、不気味なほどに目が輝いて映ることもあります。
これは多くの哺乳類や夜行性の鳥などに多く見られる性質で、暗い場所にて少ない光でも見通せる目になっているためです。
動物の目が光って見えるのはタペタムのせい
哺乳類や夜行性の鳥類は暗い場所で目が光って見えることがあります。 犬、猫、、シカ、タヌキ、イノシシ、フクロウなど、暗所で目が光る動物はキリがないほどに沢山います。
これはそういった動物の網膜の奥に「照膜(タペタム)」という反射板が付いているからです。 目に入ってきた光を眼球の奥で反射して再び網膜を通すことで、少ない光でも周囲を見通せるような仕組みになっているのです。
暗い場所で動物の目が光っているのは、タペタムによって跳ね返ってきた光によるものです。 暗い場所で写真や映像を撮る際にはフラッシュを焚いたり光で照らしたりするので、タペタムから跳ね返ってくる光も強力になります。
そのため暗い場所で動物の写真や映像を撮ると、目が光って見える訳です。
人間はタペタムを持たない
人間の目にはタペタムがないため、犬や猫のようには目が光りません。
多くの哺乳類はタペタムを持ちますが、霊長類はその例外なのです。 これは霊長類が昼行性に適応してタペタムを失ったと考えるのが自然でしょう。
哺乳類共通の先祖はほんの小さな夜行性のネズミのような動物で、夜に活動して小動物を食べて暮らしていました。 このご先祖様の目にタペタムがあったかは定かではありませんが、哺乳類にタペタムを持つものが多いことを考えるとかなり早い段階で持っていたと思われます。
そんな哺乳類の中で最初に夜行性から昼行性に移行したと考えられているのが我々の属する霊長類です。 霊長類は日中に活動するうちにタペタムの必要性が下がり、やがて進化の過程で失われたと考えられます。
その代わりと言っては何ですが、霊長類は哺乳類の中でも光の色を認識する力に長けています。 他の哺乳類がほとんど持っていない赤の色覚を持っており、そのおかげで熟した実を簡単に判別することができます。
霊長類の目は日中に活動するのに便利に出来ているという訳です。
まとめ
そんな訳で哺乳類の多くがタペタムを持っているけど、霊長類の多くはタペタムを持っていないという話でした。 哺乳類以外にもタペタムを持つ動物はおり、夜行性の鳥類やワニの多くは所持しているようです。
ただタペタム以外の要素によって夜目が利く動物もいるので、夜行性だから必ず持っているという訳ではありません。
暗い場所で哺乳類や夜行性の鳥類の写真を撮る際には、タペタムによる光の反射が起きないように気を付けましょう。 フラッシュを焚くと目が光った写真になるので、カメラのISO感度を上げて撮影するのが基本となります。