クワガタの突起はツノではなくアゴ
ツノのある昆虫と言えば何を思い浮かべるでしょうか? 代表的なのはカブトムシですが、中にはクワガタなんて答える人もいますね。
しかしカブトムシから伸びているはツノですが、クワガタから伸びているのはアゴです。
クワガタはアゴでカブトムシはツノ
クワガタムシは大きなアゴが特徴の昆虫です。 アゴの内側に向かって生えている突起を内歯、外側に向かって生えている突起を外歯といいます。
クワガタのアゴをハサミやキバと呼ぶこともありますが、これは比喩表現なので正確ではありませんが間違いとも言えません。(キバは哺乳類の犬歯や門歯を表す言葉です) しかし頭から生えていないのでツノではありません。
クワガタのアゴはある程度開閉させることが可能で、敵を挟むことができます。 これで襲ってきた敵を挟んで反撃したり、エサ場の競争相手や恋のライバルを挟んでぶん投げたりする訳です。
対してカブトムシのツノはそれ自体を動かすことはできず、武器として使うには頭や体ごと動かさなくてはなりません。 ツノを相手の下に潜り込ませてかち上げて吹っ飛ばすのを得意技としています。
ちなみにクワガタもカブトムシも、オスは長い突起を持つのに対してメスの突起は短いです。 オスの突起の特徴から種を判断できるので、オスは簡単に種が分かる一方でメスを見分けるのは難しかったりします。
なぜカブトムシのツノは1本でクワガタのアゴは2本なの?
子どもからよくある質問に「なぜカブトムシのツノは1本なのに、クワガタのアゴは2本なの?」というものがあります。 生物として別物だからとしか答えようがないのですが、少し掘り下げてみましょうか。
カブトムシとクワガタの生物分類的はどちらも甲虫目コガネムシ上科までは同じですが、カブトムシはコガネムシ科なのに対してクワガタはクワガタ科です。 科が違う種は一般的な感覚で別種の生物と考えて差し支えありません。
コガネムシ科にはカブトムシの他にコガネムシやカナブンなどがおり、それらの方が生物として近い関係にあります。 しかし「どうしてカナブンはカブトムシのような長いツノを持っていないの?」とはなりにくいですよね。 カブトムシとクワガタは何となく似た形をしていることからそう思うだけです。
という訳でカブトムシのツノとクワガタのアゴの本数が違うのは別種の生物だからです。 それぞれ生存に都合が良い進化を遂げた結果、今の形に落ち着いたんですね。