雷で豊作になるから稲の妻と書いて「稲妻」

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「雷が多い年は豊作になる」と聞いたことはあるでしょうか? 農業関係者の知人がいたらこのような話を小耳に挟む機会があるかもしれません。

雷と農作物に一体何の関係があるのかと言えば、雷には空気中の窒素を土中に送り栄養を豊富にする作用があります。 つまりは農作物を美味しく育てるのに一役買うのです。

雷による肥料の効果

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窒素は肥料の三大要素のひとつで、植物を大きく沢山育てるために欠かせない栄養です。 タンパク質を構成する要素であり、不足すると緑色が薄くなったり成長が遅くなったりします。

窒素は地球の空気の8割を占めているとても身近な存在ではありますが、しかし植物は空気中の窒素をそのまま取り込める訳ではありません。 土中の窒素を微生物が分解することによって窒素化合物となり、植物はそれを活用しています。

空気中の窒素が土中に送られる代表的な現象が雷です。 雷による放電が起きると空気中の窒素分子が酸化して窒素酸化物となり、雨と一緒に地面に落ちてきて土壌に固定されます。 土壌の窒素は更に細菌の働きなどによって硝酸塩やアンモニウム塩となり、それを植物が吸収して栄養としています。

このように空気中の窒素分子が窒素化合物に変換される事を窒素固定と言います。 窒素固定は雷による放電の他、紫外線や空気の燃焼、一部の細菌の作用などによっても起きています。

雷による窒素固定と同じ仕組みで高圧線の下にある作物もよく実ります。 雨が降ると電線が放電して雷と同じ作用が起きるからですね。

雷がよく落ちる地域や高圧線の下で農業をすれば、肥料なしでも農作物がすくすく育つことでしょう。

神社のしめ縄は稲妻を表している

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しめ縄が広まったのは室町時代ですが始まったのは縄文時代と言われています。 一説によると横向きの太縄は雲、下向きの細藁は雨、ギザギザの紙は稲妻を表し、しめ縄を神社に奉納する理由は豊作を祈願するためと言われています。

この説が正しいとすれば、縄文人は農作物の育成に雷が欠かせないことを経験則的に知っていたということになります。 特に肥料の概念がない時代は農作物の成長は自然に任せたものだったので、雷の有無による成長の差は歴然だったことでしょう。 雷が落ちた周辺の農作物がやたらと育ち、それを見た人々が雷に何か神聖なものを感じ、しめ縄に雷を模した模様が組み込まれたのかもしれません。

しめ縄の由来は他にも諸説ありますが、私はこの稲作信仰が一番しっくり来ています。

雷と稲妻の違い

雷と稲妻は微妙に違うもので、雷が落ちた時の光と音を合わせて雷、このうち光だけを指して稲妻と言います。 だから雷が鳴ったとは言いますが、稲妻が鳴ったとは言いません。

現代において区別する意味はそれほどなく雷と言うのが一般的ですが、わざわざ二つに分けているのは昔の人が光と音が別のものだと考えていたのが理由のように思えます。 遠くで稲妻が光ってから音が到達するまでに時間差があるので、光と音はそれぞれ独立した現象と考えていたのではないでしょうか。

漢字に見る農作物と雷の関連性

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雷によって起きる光を「稲妻」と言い、「稲」の「妻」と書きます。 これは稲妻が稲をよく実らせる妻のように大事な存在であることに由来していると言われています。

なお「雷」の由来は農業とは無関係です。 雨と田の組み合わせなので一見すると農業と関連しているように見えますが、別の字が変化して簡略化されたものであるため関係ありません。

稲作信仰においても豊作に関係しているのは稲妻と言われており、雷については特に言及されていません。

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