テントウムシの派手な色は警告色だった

ladybird

テントウムシは体が小さく弱い虫ですが、それなのに赤い体に黒の斑点というとても目立つ模様をしています。 弱い生物は通常、周囲と同じに色である保護色によって捕食者から身を隠すはずですよね。

実はテントウムシの目立つ色は「警告色」と言って、捕食者にあえて自分の存在を知らしめています。

テントウムシは警告色をしている

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テントウムシのような小さく弱い虫は鳥や肉食昆虫などの捕食者にとってただのエサです。 しかしテントウムシは関節から苦く臭い体液を出してまずくなることによって身を守っています。

捕食者からすれば苦くて臭いテントウムシをわざわざ食べたくないのですが、何かの拍子にうっかり食べてしまう可能性があります。 そのうっかりを防ぐために、テントウムシは赤い体に黒の斑点という目立つ体色で捕食者に対して「俺を食べても臭くて苦いぜ?」とアピールを欠かさないのです。 要は他の虫と間違え食べられないようにあえて派手な色をして目立っているのですね。

このようにあえて捕食者や天敵に自分の存在を知らせるような派手な体色を「警告色」といいます。

警告色とは?

Dendrobatidae

自然界の動物や植物の中には、あえて己の存在を目立たせるような体色をしているものがいます。 しかもそれらは体が小さく一見弱そうに見えるものに多いです。

自然界では基本的に目立たない保護色の方が生存に適しています。 捕食者だって悪目立ちすれば獲物に見つかって逃げられてしまいますし、ましてや狙われる立場の小さく弱い動物なら尚更です。

そんな動物がなぜ自分の存在を相手に知らせているのかと言えば、実は警告色持ちは強力な特性を持ち合わせていることが多いです。 例えば強力な毒を持つ毒ヘビやヤドクガエル、強烈なオナラを放つスカンクなどです。

世界有数の毒ガエルであるヤドクガエルを例に考えてみましょう。 もしヤドクガエルが保護色で目立たない色をしていた場合、捕食者に見つかってしまうとただのカエルだと思われて食べられてしまいます。 するとヤドクガエルは食われて死にますし、捕食者もヤドクガエルの毒で結局死にます。 これは両者にとって好ましい結果ではありません。

だからあえて派手な体色をすることによって相手に「手を出してはいけない相手」だと知らせるのです。 一見大したことなさそうだけど実は強力な特性を持っている生物は、周りに溶け込む保護色よりもむしろ周りから浮く警告色の方が都合が良い訳です。

ミュラー擬態

警告色を持つ生物の外見には一定の傾向がみられることが多いです。 これは「ミュラー擬態」と言って、同じような特徴を持つことで捕食者に分かりやすくアピールして覚えてもらう効果があります。

もしハチが種類ごとに色々な体色だった場合「えーと、赤に黒の点々は見た目ヤバそうだけどヤバいんだっけ?」と折角の警告色を理解して貰えない可能性があります。 しかしスズメバチもアシナガバチも黄色と黒のシマシマを持つことで、どちらを見ても「この色はヤバいハチだ!」と分かるのです。

ベイツ型擬態

大した能力を持ち合わせていないのに、あえて警告色をしているものもいます。 これは警告色を持つ動物の真似をすることで捕食者から逃れようとしているもので「ベイツ型擬態」と言います。 学生で言えば普通の人だけど不良スタイルに身を包んで舐められないようにする感じでしょうか。

例えばハナアブはハチと似た体色のベイツ型擬態をしています。 ハナアブは敵を刺すようなことはなく戦闘力はほとんどありませんが、強力なハチだと捕食者に思わせることによって襲うのを躊躇わせている訳です。

ベイツ型擬態は捕食者にバレれば見つけやすい上に能力もないただのエサですが、気づかれない限りは「手を出さない方がよさそう」となります。 今日まで生き残っている奴は、まだ本格的にバレていないやつなんでしょうね。

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