クマと出会って死んだふりをしたら死ぬ

強そうなハイイログマ

山に入るときなどに「熊注意!」と書いた看板を見かけることがあります。 注意と言われても何をどう注意すればいいのか、なんとなくは分かっても具体的にと言われるとよく分かりませんよね。

よく「クマに出会ったら死んだふりをしろ」と言われますが、いつでも死んだふりをする準備をしておけば安心…という訳ではもちろんありません。 クマの前で死んだふりをしたら死にます。

クマに死んだふりは効かない

死んだフリをする男性

クマは動物の死骸を食べます。つまり死んだふりで完璧にクマを騙せたとしても結局エサが転がってるだけなので、後はクマが満腹で何かを食べる気分ではないことを祈るばかりになります。

「死んだふり」云々はイソップ童話の「熊と旅人」が元になっているという説があります。

熊と旅人

2人の旅人が森を歩いていると熊が現れ、1人は樹上に逃げましたが、もう1人は逃げ遅れたので死んだふりをしてやり過ごそうとしました。 すると熊は死んだ振りをした旅人の耳元で何か囁いた後、森の奥へと去ってきました。

樹上の男が降りて来て熊に何を言われたのか尋ねると「危機に自分だけ逃げる薄情者とは別れなさい」という忠告でした。

この話は完全にメルヘンなので、決して真似してはいけません。 クマと出会って死んだふりでやり過ごそうとして死傷したニュースは山ほどあります。

クマと出会う前の心がけ

子どもと熊のぬいぐるみ

クマと出会わないように心がける

まずクマと出会わないように注意してください。 向こうも人間は怖いので、出会いたいなんて思ってません。大抵はお互いが予期せぬ出会いです。

なので歩くときに話をしながら・歌いながら・鈴を鳴らしながら・ラジオを点けてなど音を出してこちらの存在を知らせながら歩きましょう。 遠目にこちらの存在を察知すれば大抵は向こうが引いてくれます。

ただし「人間は美味しいものを持っている」と学習したクマは逆に近寄ってくることもあります。 山での餌付けや生ゴミの放置が禁止されているのはこういった事情もあるので絶対にやってはいけません。

木に登るのは賭け

クマと出会ったら木の上に逃げようとする人もいるようです。 しかし実はクマは木登りが得意なことは覚えておきましょう。

ただヒグマなどの巨大なクマは成長して重くなるにつれて木登りをしなくなります。 恐らく木が体重を支えられなくなって樹上では上手く動けなくなるのでしょう。 成熟したヒグマが相手であれば木に登るのも手かもしれません。

なお小柄なツキノワグマは非常に木登りが得意です。 木の上に登るのは賭けになりますが、クマの気分次第ではどこかへ行ってくれるかもしれません。 また樹上で獲物を捕まえるのは難しいので、あるいは追ってこない可能性もあります。

ちなみに日本ではヒグマは北海道、ツキノワグマは本州以南に生息しています。 大きなヒグマ相手なら樹上はある程度安全だと思いますが、ツキノワグマはどうなんでしょうね?

クマと出会ってしまった時にやるべきこと

こちらの様子を伺うクマ

クマと出会ってしまった時、もしクマが走って近づいてくるようであればこちらも走って逃げるしかありません。 荷物を放り出して全力で逃げましょう。

しかしクマが様子を見ていたり、ゆっくり歩いて近づいてくる場合は走ってはいけません。 そんな時にはとにかくゆっくり離れることを意識してください。

クマから走って逃げない

クマを見たからと言って走って逃げてはいけません。 狩猟本能を持つ動物は逃げようとしたものを追う習性を持っており、クマは時速30~60km/h以上で走ることができるので逃げきるのはまず不可能です。

クマは前足が短いから下り坂は苦手としていますが、崖のような急斜面でもない限りは結局人より早いです。 走って逃げるのはクマが走って追ってきた時の最後の手段だと思ってください。

ゆっくり下がる

互いの距離が近すぎる場合はクマを見つめながらジリジリと下がりましょう。 まずはゆっくり後退して距離を取ります。

次にリュックや上着などの荷物を下に置いて、再び自然な速度で後退して更に距離を取ります。 クマは人の荷物を漁るのが大好きなので、これにより興味を人から荷物へ移すことができます。

ある程度距離が空けば、目を離して少しだけ早歩きして逃げます。 「俺はお前に興味がないからもう行くぜ」と虚勢を張りながら立ち去りましょう。

盗られた荷物は諦める

盗られた荷物は諦め、後から回収しようとするのも止めましょう。 クマは執着心が非常に強いので、一旦手に入れた獲物や物が奪われると取り返そうと追ってきます。

荷物を囮にして一度は逃げられたのに、無造作に置いてあった荷物を持ち帰ろうとしたために追われて殺されてしまった事件もあります。 取り返せそうでも諦めましょう。

本来クマは臆病で慎重な性格で、人間との出会いは向こうも大抵は想定外のことなのです。 出会ってからの対処も大事ですが、それよりもお互い望まぬ出会いとならないよう心がけたいものです。

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