残業月100時間ってどんな状態?その生活と残業が多くなる理由

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ワークライフバランスの改善が求められる今、残業時間が問題にされることがあります。 その残業時間が多すぎると考えられる基準に「残業100時間」があります。多分2桁から3桁に上がってインパクトがあるからよく言われているんでしょうね。

同じ残業時間でも仕事内容やモチベーションによって疲れ方やストレスが全然違うので、残業時間の多寡で比べるのもおかしな話ですが何かの参考になれば幸いです。 そんな100時間残業を掘り下げつつ、残業時間について考えてみましょう。

残業100時間はどんな状態?

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まず残業が100時間とはどんな働き方なのか考えてみましょう。 9時始業~18時終業で週休2日の4週間で考えた場合、1週間に25時間の時間外勤務が必要になります。

もし平日の5日間だけで済ませるなら5時間の残業=23時まで働けば 5時間 × 5日 × 4週 = 100時間になります。 また土曜にも出社して10時間(20時まで)働くのであれば、平日は毎日21時に帰ることができます。 これだけ聞くと「あれ100時間残業って意外に大したことない…?」って思いますよね。

楽な作業で自分でスケジュールを切れる状況という前提であれば100時間残業は大したことはありません。 激しく消耗する仕事だと無理でしょうが、デスクワークでモチベーションを保てるのであればプライベートを諦めればノーダメージだったりします。

中学生でも7時に学校行って19時まで部活して帰宅したら22時まで塾、土日も部活で潰れるなんて子もいますよね。 拘束時間だけ見ればそれよりも全然少ないです。

しかし100時間残業には数字からは見えにくい恐ろしさがあるのです。 残業時間の多寡=疲れやストレスとは言いませんが、まあ一つの目安としてお話しさせていただきます。

均等な勤務時間になることはほぼない

前述の中学生はある意味規則正しい生活をしていましたが、100時間の残業はそう計算通りにはいきません。 例えば同月内でも前半は暇なのに後半はやたら忙しくなるケースがあります。

IT業界でプロジェクトが炎上している時のテスト担当者がこんなことになりやすいですかね。 プログラムのコーディングが終わってないのでテストできず、しかし後で挽回のため超過勤務させられるなんてケースです。

同じ100時間残業でも均等に均した時と局所的にかかってきた時とでは疲れが全く違います。 14日で100時間働くとすれば毎日24時まで働いて土日も10時間は出なければなく、これはかなり削れるスケジュールです。

特に徹夜で働いて翌日そのまま仕事なんて働き方は体にかかる負担も大きくなり、残業時間自体は少なくても酷い疲れを感じるようになります。 一口に100時間残業と言っても、どのように残業しているのかで疲れ方は変わってくるのです。

その残業時間、本当に100時間?

あまり酷い残業をしていると会社は沢山の給料を払わなければならないし全国労働基準監督署から怒られます。 また予算の都合もありますし、マネジメントの観点からも好ましくなくマネージャーの評価に響きます。

だからという訳かは知りませんが「一定時間以上の残業は一律カット」などということがまかり通っており、酷い所はそもそも残業時間を付けてもらえない場合もあります。 だから勤怠上は残業が100時間となっていても実際にどうなっているかは外から見えないのです。

よくニュースで「毎月100時間もの残業で過労死」などと報じられますが、実際はもっと酷いのに裏が取れないだけの可能性は十分あるように思います。 また営業の接待やら取引先のおもてなしやらお得意様との付き合いやらも、勤務時間には含まれませんがほとんど仕事みたいなものですよね。

慢性的な残業は流石に具合が悪い

1か月だけの100時間残業は深刻な問題にならなくても慢性的になると話は変わってきます。 プライベートが疎かになると精神的に貧しくなってきますし、少し穴が開いただけでフォローが大変になります。

残業が慢性化している場合、チームや部署など職場全体で残業超過になっていることが多いです。 こうなると頑張って仕事を早く終わらせても他の作業が降ってくるだけで、また「金曜の23時から全体会議」「午前2時を目安にテスト開始」など定時で帰らせる気がない固定イベントが平気でスケジューリングされます。

こうなると「どうせ残業だから」と仕事にメリハリがなくなり、友人の誘いを断り続けてモチベーションが下がり、作業効率は落ちてそれが更なる残業を呼びます。

また疲れやストレスは単純な残業時間の多寡だけではなく、仕事内容・環境・心理状態などにも大きく左右されます。 辛い作業で膨大な残業時間となった場合、病気になったり最悪死んでしまうこともあるかもしれません。

このような状態は雇用者側から見ても問題ある状況なので流石に改善しようとするはずですが… 今日も残業地獄に苦しむ企業戦士は後を絶ちません。

そもそも沢山残業をさせられる理由

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企業は最低限の人員しか置かない

会社が余剰人員を抱えてしまった場合、人件費という膨大なコストが重く圧し掛かり続けます。 だから会社は必要最低限の社員しか置きたがりません。

常に一定量の仕事をし続ける職業ならそこまで問題にはなりませんが、時期によって仕事量に波のある職業はどうでしょうか? 期末に作業が集中する経理、休日や長期休暇に忙しくなる旅行業、収穫期に多くの人手が必要になる農業など、平時と繁忙期で作業量が変わる仕事は色々ありますよね。

平時は10人しか必要ないけど繁忙期には20人必要になる仕事があるとします。 それではこの仕事を普段何人の社員でやるのかと言えば、平時に合わせた10人ですよね。 繁忙期に合わせると人件費で倒産してしまいます。

そして繁忙期になったら10人に残業させて20人分働かなくてはなりません。 もちろん不可能なので外部の人に手伝って貰うことになりますが、まあ残業なしにはどうにもならないですよね。

ちなみに残業時間に定評のあるIT業界にもこの波が存在し、しかもテクノロジーの刷新や流行など長期予測が難しいものに影響します。 そりゃあ残業がなくなりませんよね…

少人数の方がコストパフォーマンスが高い

複数人で仕事を分担する場合、小まめに確認しないとお互い全く別の方を向いていたり聞いた聞いていないだので揉めたりします。 なので知識の共有や意思決定のためのすり合わせ・引継ぎ・資料作成が必要になるのですが、これは重要かつ労力のいる作業です。

作業は人数が多いほどに知識の共有や意思決定が大変なものになります。 100人規模のプロジェクトなんて会議のスケジュール調整だけでも長時間奔走される大変な作業になりますが、これが数人ならちょいと集まって話し合って意思決定まで終わります。

また育成、交通費や仕事道具などの経費、厚生年金や保険などの人材辺りのコストも人数が多いほど比例してかかる傾向にあります。 そんな事情があって仕事は可能な限り少人数で回した方が効率が良いのです。

終わりに

昨今はワークライフバランスの改善が訴えられ様々な試みがされています。 しかし今まで見てきた対策はどれも疑問符が出るような代物ばかりです。

中には残業があまりない会社もありますが、負担を下請けや派遣会社に押し付けているだけのケースも多いです。 働き方のモデルケースとして紹介されることがありますが、そのモデル企業に業界全体が倣うとモデルが破綻する矛盾を抱えていたりします。

そもそも労基の元締めの厚生労働省が残業だらけという話なんですが…改善される日は来るのでしょうか?

追記:肌感覚としてかなり改善されました。 この記事は昔の働き方を記録した古文書としてお読み頂ければ幸いです。

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