甘納豆は納豆を甘くしたものではなく、納豆にあやかって名前を付けただけ
甘納豆は日本の伝統的なお菓子として人気で、その上品な甘さは子供から大人にまで愛される逸品です。
甘納豆はその見た目と名前から納豆を甘い味付けで作ったものだと思う人がいます。 実は甘納豆は納豆にあやかって名前を付けただけなので、原料からして別物です。
納豆と甘納豆
納豆とは
納豆は大豆を納豆菌で発酵させたもので、煮た大豆を稲藁で包んで1~2日寝かせれば完成です。 調味料などは一切なしで納豆の味になります。
納豆菌は名前から納豆に生息する特殊な菌のようにも聞こえますが、ただの枯草菌の一種で枯れた稲の中などに生息しています。 納豆を作るための菌だからこんな名前になったんですかね?
納豆がいつから食べ始められたかは定かではありませんが、平安時代にはすでに広まっていたようです。 製法的に偶然できることも大いにあり得るので、もっと古くから存在していてもおかしくはないように思います。
しかし納豆の見た目は明らかに腐っているように見え、ゲテモノ料理の一種と見なされることもあるほどです。 最初に食べた人は何考えて口に入れたんですかね?
甘納豆とは
甘納豆の原料は黒豆・金時豆・大豆などのマメ類の他にもクリやサツマイモなどが用いられることもあります。 煮て砂糖をまぶして甘くして、乾燥させれば完成です。
納豆と同じく大豆が使われることもありますが、他は原料からして納豆とは違いますし、また納豆菌で発酵させる工程もありません。 「納豆」という名前こそ付いていますが全くの別物なのです。
甘納豆は浜納豆にあやかって命名された
納豆とは別物の甘納豆になぜ「納豆」の名が付いたのかと言えば、見た目が似ている浜名納豆にあやかった名前を付けたからです。
我々が普段「納豆」と呼んでいるものとは少し違うのですが、塩納豆という麹菌で発酵させた後に乾燥させたものがあります。 静岡県・浜松では塩納豆の一種である「浜名納豆」が名産なのですが、ネバネバしたりはせず甘納豆のような見た目をしています。
これにあやかって1857年にできた甘納豆は「甘名納糖」と命名されました。 そして時代を下るうちに甘納糖と省略して呼ばれるようになって今に至ります。
かいつまんで言うとパチモノみたいなものでしょうか。 見た目も名前も似せて作るとは、間違って買ってしまうのを狙っているようにも思えてしまいます。 「土産に浜名納豆買ってきて!」と言われて甘名納糖を間違って買って帰って怒られるお父さんはいなかったのでしょうか?
しかし甘納豆はなんやかんやで多くの支持を集め、浜名納豆の知名度を抜き去り全国展開して今に至ります。 浜名納豆の胸中は如何なものでしょうかね。