チョウとガは生物的な分類はされていない
昆虫の中でもチョウは人気が高く、美しい羽を開いて飛ぶ姿はよく詩などにも読まれます。 それに対してガは嫌われ者であり、害虫として殺してしまう人も少なくありません。
しかしチョウとガって実は明確な区分けはされていないんです。 チョウ目の中で特定の種を「チョウ」と呼び、それ以外を「ガ」と呼んでいるんですよ。
チョウとガの違いは?
チョウとガの見分け方は「昼活動するのがチョウで夜行性なのがガ」「留まった時に羽を閉じるのがチョウ、閉じないのがガ」「触覚の先が太いのがチョウ、触覚の先が細かったり櫛のようになっているのがガ」などと教わることも多いと思います。
しかしそれらで大体の見分けは付くのですが、中にはそうでもなかったり見分けが難しかったりするやつもおり完全には区分できません。
チョウもガも「チョウ目(鱗翅目) 」に分類される生物です。 そのチョウ目に分類される21種の上科のうち、アゲハチョウ上科、セセリチョウ上科、シャクガモドキ上科の3種に属するものを「チョウ」と呼んでいます。 そしてこれ以外は「ガ」です。
しかしこの3種は、他の18種と明確に違いがある訳ではありません。 まあ見た目や前述した見分け方でおよそ分類することはできますが、中には判断が難しいものもいます。
セセリチョウはガっぽいですが立派なチョウです。
アゲハモドキは名前の通りアゲハチョウに似ているけど違う種のガです。
こんな奴らを外で見かけても、正確にチョウとガの判断なんて付けられませんよね。 まあこの辺のは紛らわしい例ですが、そんなものなのです。
なぜ別々に呼称しているのかは謎が大きいです。 古語においてはチョウもガもまとめて「ひひる」と呼ばれていたようですが、いつの間にやら分かれてしまったようです。 一説には「蝶も蛾も漢語であるから中国の影響」とか「明治以降に入ってきた英語の影響」とか言われていますが、さてどうでしょう。
まあその程度の適当な分類なので、チョウっぽいからチョウ、ガっぽいからガと呼ぶのもあながち間違いではないような気もします。 そんな訳でチョウとガは別に生物的に明確な違いがある訳ではなく、チョウ目の中の3種をチョウ、残り18種をガと呼んでいるだけという話でした。