ハチはメスしか刺さないけど、ほとんどメスだから大抵刺してくる

hornet

先日親戚の子に「ハチが刺してくるのはメスだけなんだ!だから半分のハチは刺してこないんだよ!」と教えられました。 「おお、よく知ってるな!こりゃ将来は昆虫博士かな!」と褒めて伸ばすことにしました。

しかしこれ、前半部は正しいんですが、後半部は間違ってるんですよね。 哺乳類を基準に考えるとオスメスは大体半々と思いがちですが、ハチはほとんどがメスだから皆刺してくるんですよ…

ハチの針は産卵管が変化したもの

ハチの針は産卵管または産卵管が変化したものなので、オスのハチには針がなく刺すことはできません。 しかし巣を作って集団生活するハチにはオスはほとんどいません。

ハチは役割分担がはっきりしている生物で「女王蜂」「働き蜂」「新女王バチ」「オス蜂」の4種がいます。 このうち我々が目にするのはほとんどが働きバチです。

女王バチは春先には一匹で営巣を始めるので、この時期には目にすることがあります。 しかし働きバチが育つと巣に引きこもって産卵に専念するので、それ以降に見かけることはほぼありません。

働きバチはエサを探すために巣から離れて行動したり、巣の防衛を担ったりしており、目にする機会は群を抜いて多いです。 また数も圧倒的に多く約9割が働きバチで占められています。

秋になり巣が最盛期を迎えるとオスバチと新女王バチが生まれますが、これらは巣の運営に携わりません。 オスバチは他巣のスズメバチと交尾するために巣立ち、新女王バチは交尾後に越冬して翌シーズンの女王バチとなります。 なのでこれらはあまり目立つ行動はとりませんし、数もそれほど多くありません。

つまり我々が目にするほとんどのハチはメスの働きバチです。 ハチを見かけたら「あれがメスだったら刺されるかもな」ではなく「あれはメスだから刺される」が正しいです。

人を刺すハチは少数派

すべてのハチが人を刺してくる訳ではなく、むしろ刺してくるのは少数派です。 前述した通りハチの針は産卵管であるため、ただ攻撃のために使うことはあまりしません。

ハチには植物や昆虫の内部に卵を産みつける種がおり、そんな時に針のような産卵管が役に立っています。 これを攻撃のためだけに使うなんてのはそう多くないのです。

ハチは針を刺すと死ぬ?

「ハチは一回刺すと死んでしまう」なんて言われますが、これは人を刺したミツバチに限っての話でありハチの習性ではありません。

ミツバチの針には「返し」のようなものが付いていて、刺すと返しが引っ掛かるようになっています。 刺した相手の皮膚が柔らかければ相手の皮膚を破りますが、ミツバチよりも固い皮膚を持つ相手を刺してしまうと抜く時に腹が破れて死んでしまいます。 だからミツバチが人を刺すと死んでしまうのです。

なお多くのハチの針は多少のギザギザはあってもミツバチのような返しは付いていません。 だから大抵のハチは人を刺したい放題で刺してきて、中にはスズメバチのように強力な毒液を流し込んでくる奴までいます。

特にスズメバチの巣の近くで襲われた場合、その場に留まると数千匹の集団に何度も刺されて毒を流し込まれることになります。 最悪死んでしまう可能性もあるので、ハチに襲われたらその場に留まったりせずに走って逃げましょう。

eyecatch

アリは油性ペンの線を通れず、シロアリはボールペンの線の通りに歩く

eyecatch

チョウとガは生物的な分類はされていない

動物の記事

eyecatch

マムシは卵を産まずに直接子を産む

eyecatch

マングースはハブをあまり襲わない

eyecatch

アメンボは陸でも生活している

eyecatch

イヌやウシには指紋ならぬ鼻紋がある

eyecatch

イッカクの長いツノはツノではなくキバが伸びたもの

eyecatch

テントウムシの派手な色は警告色だった

動物の記事一覧HOME