人間の細胞は毎日少しずつ入れ替わって数年で大体別物になる

human

現在の自分、過去の自分、未来の自分はどれも同一人物です。 何当たり前の事を言ってるんだと思うかもしれませんが、まあこれは前振りです。

人間(に限りませんが)の細胞は毎日少しずつ入れ替わっています。 入れ替わる期間は細胞によりけりで中には一生同じ細胞もありますが、長い時間が経てば多くは入れ替わります。

なので過去や未来の自分を構成している細胞は現在の自分の細胞とは別のものなのです。 極論すれば同一人物であっても別人であるとも言え、こう考えると過去や未来の自分が本当に自分なのか怪しくなってきますよね。

人体の細胞は入れ替わる

cells

人間の体にある細胞はおよそ37兆個と言われています。 これらの細胞は日ごろ分裂して増え、寿命を迎えて死にを繰り返して少しずつ入れ替わっています。

細胞の寿命は部位によって様々で、胃や腸を覆っている上皮細胞は24時間ほど、肌は数週間、筋肉や血は数か月、骨は数年、脳や心臓はとても長く一生同じ細胞の割合も少なくありません。なので全身全てが入れ替わる訳ではないですが、それでも10年も経てば多くの細胞がまるっと入れ替わることになります。

脳や心臓はともかく、顔や手足などは時間が経つと別の細胞になります。 言ってみれば同じ規格の別パーツで出来ているという事です。

さて、そんな別の細胞を持つ過去や未来の自分は現在の自分と同じであると言えるでしょうか? 細胞云々の話ではピンとこないでしょうから、まずは「テセウスの船のパラドックス」というお話をします。

テセウスの船のパラドックス

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その昔、ギリシャにテセウスという英雄がいました。 ミノタウロスを倒した人と言えば通りが良いでしょうか。

アテネの人々は彼がクレタ島から脱出した時に使った船を記念に保存していました。 木製なので経年劣化しますが、その度に新しい部品に入れ替えて修繕しました。

そうして修繕を重ねたテセウスの船ですが、やがて全ての部品が元の部品と入れ替わりました。 さてここで問題です。保存してある船はテセウスの船であると言えるでしょうか? そして古い部品を集めてテセウスの船をもう一隻作った場合、どちらがテセウスの船でしょうか?

この小話を「テセウスの船のパラドックス」と言います。 これを踏まえて再び人間の話を考えてみましょう。

ただ細胞がどうこう言ってもイマイチ実感が沸かないので、もう少し大きな単位で考えてみましょうか。 ある程度大きな人体の部位でこの問題を考えてみましょう。

あなたの両腕を切り取って義手にしました。 この時のあなたは本物でしょうか?まあほとんどの人は「そうだ」と言うでしょう。 同じく両足を切り取って義足にしてもまだまだ本物ですよね。

しかし目、耳、骨、内臓と少しずつあなたを別のものに取り換えていったらどうでしょうか? 全て別のものに交換し終えて尚、あなたは本物であると言えるでしょうか?

もし全ての部位を交換しても本物であると言えるなら、あなたから切り取った部位から作ったもう一人の貴方はどうでしょうか? 最早どちらが本物なのか分からなくなってきますよね。どちらも本物とも言えるような片方は偽物のような気もする難しい問題です。

このパラドクスに明瞭な答えはありません。 有名な問いなので世界中で色々な解答や解釈がされていますが、何を正しいと思うかは価値観次第で人それぞれでしょう。 学者が色々な見解を出しているので調べてみるもの面白いかもしれません。

何を正しいと思うかはさておき、我々の体ではこのテセウスの船ような新旧細胞の置き換えが日夜起きています。 そして過去や未来の自分の体は今の自分の体とは大部分が別物なのです。さて、現在の自分と過去や未来の自分は同じと言えるでしょうか?

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