沈みゆく船でどうする？コンセンサスゲーム「船長の決断」

コンセンサスゲームとは課題を複数人の合意で意思決定するゲームです。今回お届けするのは「船長の決断」です。

コンセンサスゲームには「個人決定よりも集団決定の方が正確で有用」「考え方や価値観の違い」などを気付かせる狙いがあります。 コンセンサスゲームとして複数人でするのも面白いですが、一人でもできるのでぜひ考えてみてください。

船の衝突後にすべきことは？

あなたは旅客フェリーの船長です。 現在は沖（陸地からある程度離れている）を航行しています。

すると突然の濃霧で視界が悪くなって急に現れた船と衝突してしまい、激しい衝撃が船内を駆け巡りました。 遠からず船は沈没してしまうでしょう。

あなたは船長として何をすべきか決断・実行しなくてはなりません。 以下10個の行動に優先順位を付けてください。

さてあなたは何から手を付けるべきでしょうか。

模範解答

各行動にどのような役割があるかを掘り下げると、やるべきタイミングは自ずと見えてきます。 一種の流れ作業のようなものなので、自然な流れになるように行動を並べましょう。

1.衝突箇所に乗務員を向かわせて状況確認させる

事故によって何が起こりどんな状況になったのかを把握しないことには何もできません。 なのでまずは現状把握から始めます。

2.破損区画のバルブを閉めて浸水を防ぐ

早々に船が沈没しないようにとりあえずの応急処置が必要です。 浸水を防げば船が沈没するまでの時間を稼げます。

3.船内に非常事態を通知する

状況の確認と応急措置が済んだら非常事態を通知します。 併せて今後どうすれば良いかの指示を出せばより良いでしょう。

これを一番に持ってくる人がいますが、衝突事故なので船内にいれば非常事態なのは分かります。 アナウンスがあった方が乗客は安心できますが、それで他の対応が遅れて状況が悪化しては本末転倒ということでしょうね。

4.乗務員に救命艇を降下する命令を下す

沈没する船から脱出する準備を行います。 乗客の退避には時間がかかるため、このあたりのタイミングで始めた方が良いでしょう。

5.SOSを発信して近くの船に救助を求める

救命艇を拾って貰えるようSOSを発信して救助を要請します。

6.携帯無線機を搬出する準備をさせる

救命艇からも助けを求めるため、携帯無線機を持っていきます。

7.船医に医療品を持ち出させる

救命艇で医療行為を行う必要に備えて医療品を持っていきます。

8.船と運命を共にするために、体をしばるロープを用意させる

これ以降はやるだけ無駄・やらない方が良いような行動になります。

船長の責任感の現れだそうです。 船長の責任を放棄して真っ先に逃げ出さないための儀式と見れば分からなくもないでしょうか。

昔は船長の殉職を助長する法律・文化・風潮があり、沈没する船と運命を共にした船長も少なくありませんでした。 しかし今となっては時代錯誤の考え方です。

9.各救命艇に釣り道具を分配させる

漂流中に釣りで食料を確保する気かもしれませんが、生魚を釣ったところで食べられないのでやらない方がマシです。 食料よりも水の方が問題ですしね。

10.興奮を沈めるため船内に音楽を流す

緊急事態なのに穏やかな音楽を流している場合ではありません。 意味がないどころかやらない方がマシです。

採点

すべてのアイテムにて、下記の模範解答とあなたの回答の順位差（絶対値）を出してください。

たとえばあなたが衝突箇所の確認を3番目とした場合、模範解答は1番目なので順位差は2となります。 同様に全ての行動の順位差を出し、その総計が少ないほど模範解答に近い＝高得点となります。

コンセンサスゲームとしてプレイした場合、相談前後の点数にも着目してください。 多くの場合は相談後の方が良い点数になるとされていますが、そうでもないこともままあったりします。

上7つは流れ作業で大よその順位はつかめるし、下3つは不要なことが察せます。 コンセンサスゲームの中でも高得点を狙いやすい問題と思いますが、あなたの結果はどうだったでしょうか。