みんな錯覚した確率のクイズ「モンティホール問題」

present
  1. 3つの箱があり、中に1つだけアタリが入っています。
  2. あなたは箱の中から1つ選びます。
  3. あなたが選ばなかった2つの箱のうち1つ、ハズレの箱が発表されます。
  4. あなたは選択する箱を変更する権利を与えられます。もちろんそのままでもOKです。
  5. アタリの箱が発表されます。

このゲームを確率の観点から見てアタリを引くのに合理的な行動を取る場合、4でどちらの選択をするべきでしょうか。

答えは「選択する箱を変更する」です。決して五分の勝負ではないですよ。

直観と正解が違うモンティーホール問題

Correct answer

さて、上の問題に正解することはできたでしょうか? 正解した人はおめでとうございます。この記事は以降読んでも仕方ないことが書いています。 不正解だった人は実際に問題の流れを見ながら整理してみましょう。

便宜上、箱をA・B・Cとして、あなたは最初にAを選択したとします。 この時点ではどの箱もアタリが入っている確率は1/3です。

その後B・Cのうちハズレの1つが開けられます。今回はCの箱が開けられました。 残っている箱はAとBです。

さてここでAとBにアタリが入っている確率はそれぞれいくつでしょうか? 問題を間違えた人は、恐らくどちらを選んでも1/2と考えたでしょう。しかしそれこそが確率の錯覚なのです。 答えはAの箱は1/3、Bの箱は2/3です。

納得いかないあなたのために、少し考え方を変えてみましょう。 一番最初のどの箱がアタリか分からない時点で、Aの箱1つとB・Cの箱2つのグループ、アタリが入っている確率はそれぞれいくつでしょう?答えは当然、Aは1/3でB・Cは2/3ですよね。

次にCの箱はハズレだと箱を開けられました。残ったAの箱とBの箱、アタリが入っている確率はそれぞれいくつでしょう? 答えは当然、Aは1/3でBは2/3ですよね。別にCの箱がなくなっても、最初に2箱分選んだのだから確率は変わりません。

言い方は変わっていますが、これ前述した内容とやっていることは変わりません。 だから選択肢を変えるべきなのです。

もしこれで納得いかなければ、箱1個と箱100個で同じように考えてみてください。 箱1個側と箱100個側の残った1個、いくら何でも100個側にアタリが入っていると感じますよね。

ここまでくれば大体の人は「今一つ納得できないけど、論理的に正しいように見えるからしぶしぶ納得する」ぐらいにはなったのではないでしょうか。こういった問題は「モンティホール問題」といって「直観で正しいと思うことと論理的に正しいことがズレる問題」の例として知られています。かつては数学者も惑わされていたほどなんですよ。

もう一人の子どもの性別はどっち?

もう一つ類似問題を出しましょう。

近所に2人の子どもがいる一家が引っ越ししてきました。 子のひとりは女の子でした。

さて問題です。その一家の子どもが姉妹(もう一方の子も女の子)である可能性はいくつでしょう?(※子の性別は1/2の確率で決まるものとします。)

これも感覚的に1/2のような気がしますが答えは1/3です。 まず2人の子の性別は「男・男」「男・女」「女・男」「女・女」の4パターンです。 問題の前提でいずれかは女の子なので、ここから「男・男」のパターンは除外され、残った3つの中で姉妹になるのは「女・女」の一つだけなので確率は1/3という訳です。

今度は飲み込めたでしょうか?

モンティホール問題の由来

Illusion

こういった類の問題は色々類似・派生の問題があるのですが、まとめてモンティ・ホール問題と呼ばれています。 この名前の由来はアメリカの番組「Let’s make a deal」で司会をしていたモンティ・ホール氏です。

3つの閉じたドアがあり、うち2つはハズレでその先にはヤギがいて、残る1つはアタリでその先には車があり、正解すれば車を貰えるという番組でした。 おおよそのルールは最初に書いたものと同じです。

もちろん確率的におかしいのですが、当初は誰もそれに気付いていませんでした。 もしかしたら気付いていた人がいたかもしれませんが、少なくとも多くの人は分かっていませんでした。

しかしそんなある日、ニュース雑誌のコラムで番組の問題点が取り上げられます。 要点は前述のように「選択を変えないのと変えるのでは期待値が2倍違う」という内容です。 それを読んだ多くの読者から「そんな訳がない」と投書が殺到し、その中には多くの博士号持ちもいました。

かういう私も友人からこの話を聞いた時「こいつ確率の基礎も分かってないのか」と思いました。 結局分かっていないのは私の方だったのですが、確率問題は割と得意だと思っていたのに驚愕した思い出があります。

この話は一大論争に発展し、当初はコラムが間違っているという声はとても大きいものでした。 この話は多くの新聞・雑誌で取り上げられ、研究者やコンピュータでの試行など数々の証明の末にやっと正しさが認められて話が納まりました。

この一連の話から得られる教訓は沢山ありますが、とりあえず「人間の頭は全幅の信頼がおけるほど信用できるもんじゃない」ことは覚えておきましょう。直観が違ったり記憶が改ざんされてたりなんて日常茶飯事なのです。

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