柔道でもっとも高段位の帯は、黒帯ではなく紅帯

柔道黒帯の選手

柔道は日本で最も競技人口の多い格闘技です。学校の授業で経験した方も沢山いることでしょう。 そんな柔道では強さの象徴として「黒帯」という言葉をよく使いますが、実は黒帯よりも上に紅白帯と紅帯があります。

それなのになぜ黒帯が幅を利かせているのかと言えば、黒帯より上は単純な強さ以外に求められるものが色々あるからです。 強さだけを見れば黒帯が最強なのかもしれません。

柔道における段位の仕組み

試合前に礼をする柔道家

柔道の段位と帯の色

柔道の帯の色は段位によって以下のように変わります。

段位帯の色
四級以下白帯
三級~一級茶帯
初段~五段黒帯
六段~八段紅白帯
九段~十段紅帯

この通り黒帯の上にはまだ二つも帯があり、文字通り「段違い」です。 一般的な感覚からすれば、黒帯よりも段位が上の紅白帯や紅帯の方が強いように思えます。

しかし柔道で一番強い選手が巻いているのは黒帯である可能性が高いです。 これは黒帯より上に昇段するには、強さ以外にも求められるものがあるからです。

昇段後の修行年限

柔道の段位には受験できる最少年齢が設定されています。 大前提として初段は満14歳、五段は満20歳以上が条件です。

そして柔道には「修行年限」が設定されています。 これは昇段後に次の段を受けるまでの修行期間として定められているものです。

大会の成績などから「秀」「優」「良」「可」に分けられ、修業期間は優秀なら短く・平凡だと長くなります。 そして段位が上がるほどに、基準となる修行年限が長くなります。

参考までに「秀」と「可」に設定されている修行年限は以下の通りです。

段位修行年限(秀)修行年限(可)
初段1年半
ニ段半年3年
三段1年4年
四段1年5年
五段1年半6年
六段5年12年
七段6年15年
八段9年18年

このように段が上がるほど修行年限が長くなるため、いくら優秀でも若くして高段者にはなれません。 黒帯の上である紅白帯(六段)の受験資格を得られるのは最短でも27歳になります。

また六段以上になるには強さだけでなく、柔道界への貢献や普及・発展に尽くした功績が必要になります。 そのため現役選手が六段以上になることはまずありません。

そして最高位の帯・紅帯が貰える九段ににいたっては、昇段資格すら明確に定められていません。 しかし手前の八段の受験資格を得られるのも最短で42歳なので、強さの全盛期はとっくに過ぎていることでしょう。

柔道は黒帯が一番強い説

中学・高校で柔道を3年間続けると、大体が柔道一段=黒帯になります。 黒帯はそれなりに凄い事ではありますが、真面目に柔道部で活動していれば難易度はそこまで高くありません。

しかし子どもの頃からずっと柔道を続けていても、高校卒業までに取れるのは三~四段がせいぜいで黒帯なのは同じです。 そしてオリンピックに出場するような柔道エリートでも、その多くは四~五段の黒帯です。

柔道選手のピークは他の格闘技よりも若干若い20代中盤~30歳ぐらいと言われています。 オリンピックでメダルを取るような柔道エリートでも、紅白帯になる頃には強さの全盛期は過ぎていますし、紅帯なんて言うに及ばずです。

強さの象徴として称えられるのにふさわしいのは、まだ上に二つ帯があるとはいえ「黒帯」なのではないでしょうか。

黒帯の由来

黒帯を締める柔道家

柔道の帯は江戸時代頃には胴着を締めるためだけのものでしたが、明治時代になると技量に対応して帯を色分けするようになりました。

帯の色を変えるようになった由来は諸説あるので、有力説を二つ紹介したいと思います。

講道館柔道説

明治時代に講道館柔道を創設した嘉納治五郎は、技量に秀でた門下生に黒帯を巻かせるようになったという説です。

強さの象徴を「黒帯」と言うのも、講道館が由来なのかもしれません。

帯の汚れ説

当時は帯を洗う習慣がなく、長く柔道に打ちこめばそれだけ帯が汚れていきました。 白→茶→黒と柔道暦が長くなるほどに帯が変色していき、それに由来して技量で色分けされるようになったという説です。

この説は冗談で作られた笑い話のように聞こえますが、本当のところはどうなんでしょうね。

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