北極より南極の方が平均気温が20℃低い

Penguin

南極や北極と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべるようでしょうか。 とりあえずどちらも氷に閉ざされた極寒の世界のようなイメージがありますよね。

しかし実際の所は北極と南極には結構違いがあります。 例えば平均気温は北極よりも南極の方が20℃ぐらい低いんです。

北極と南極を色々見比べてみましょう。

南極は北極より寒い!

Antarctic

気温を決める要素は色々ありますが、基本的に赤道上が最も暑く、そこから離れるほどに寒くなっていきます。 これは赤道に近いほど太陽の角度が直角に近くなる=日照量が多くなり、赤道から離れるほど直角から離れる=日照量が減るからです。

日本の夏が暑くて冬が寒いのも、太陽の日照量=角度に依る部分が大きいです。 夏至は太陽が78°ですが、冬至は31.2°しかありません。

そして赤道から最も遠い北極・南極は、太陽の角度が低すぎて日照量が少なくとても寒いです。 しかし北極と南極の太陽の角度はほぼ同じなのに気温は結構違います。これは日照量の他にも気温を左右するものが色々あるからです。

標高

南極大陸は平均標高が2200mと最も高い標高を誇る大陸で、標高が高ければ当然気温も低くなります。 対して北極は数十メートルがせいぜいの氷山しかありません。

一般的に標高が100m上がると気温が0.6℃下がると言われています。 2000mで12℃変わる計算になり、当然南極が寒くなります。

陸と海

北緯90°地点である「北極点」と南緯90°地点である「南極点」は、地球で最も日照量の少なくなる場所です。 そして北極点は海の上にあるのに対して南極点は広大な南極大陸の中にあります。

北極点の周囲にある北極海は極寒の海ですがごく一部の上層を除けば温度は0℃近くあります。 対して南極点の周囲は-50℃以下になる南極大陸です。 気温は周囲の温度にも影響されるので、日照量は同じでも北極は暖かく、南極は寒くなります。

これらの影響で北極は南極と比べて平均気温が20℃ほど暖かいのです。 南極は年間の最高気温が-14℃ぐらいですが、北極は夏には14℃ぐらいまで上がることもあります。 北極も南極も同じ極寒の地のイメージですが、実際は結構違うんですよ。

地球最低気温の記録は南極のボストーク基地の-89.2℃

地球上で観測された最も低い気温は、南極のボストーク基地で1983年に観測された-89.2℃です。 これは灯油が余裕で凍り、もう少しでガソリンですら凍ってしまうほどの気温です。ガソリンって凍るんですね…

ボストーク基地は南極点から1730kmずれた場所にありますが、標高3488mと高所に位置しているためとても寒いです。 年の最高気温が-14℃だったり、観測史上一度も0℃を上回ることがなかったりととんでもない場所なのです。

住んでいる動物も結構違う

Penguin

北極にはホッキョクグマ、ホッキョクオオカミ、ホッキョクウサギ、ホッキョクギツネ、トナカイ、ジャコウウシ、アザラシ、セイウチ、カモメ、クジラなどが住んでいます。

北極には大陸こそありませんが陸地がない訳ではなく、また氷の上で生活している動物もいます。 恐らくみなさんが思っているよりも生物が豊富です。(言うほど豊富ではないですが)

対して南極にはペンギン、アザラシ、クジラ、カモメなどが住んでいます。大陸がある割に陸上動物と言えるのがペンギンぐらいしかいません。

見比べてみると同じ極寒の地でも住んでいる動物は全然違いますよね。 特に北極にペンギンがいないのを意外に思う人が多いように思います。

ペンギンは陸上に営巣しますが、あまり陸上で俊敏に動けないため肉食動物に対抗できません。 仮に北極に連れていけばホッキョクグマのおやつになってしまうでしょう。

南極は寒すぎてエサが乏しく、陸上にまともな動物がいません。 そのため捕食者は生きていけず、ペンギンが生きていけるのです。

白夜と極夜の時期が逆

White night

北極圏・南極圏特有の現象に「白夜」と「極夜」があります。 折角なので触れておきましょう。

その前に北半球と南半球の季節について混乱しそうなので補足します。 我々は暑い時期を「夏」寒い時期を「冬」と呼んでいます。 北半球と南半球では同じ時期の寒暖が逆転するので、北半球で暑いのは8月前後でその辺りを夏と呼び、南半球で暑い時期は1月前後でその辺りを夏と呼びます。

しかし夏至・冬至は北半球を基準に定めらた言葉であり、北半球でも南半球でも同じ日に夏至・冬至を迎えます。 ただし当然日照時間の長さは当然逆になり、6月21日前後にある夏至は北半球では最も昼が長い日ですが、南半球では最も昼が短い日です。 12月22日前後にある冬至は北半球では最も夜が長い日で、南半球では最も夜が短い日です。

それを踏まえて話を戻します。

地球の地軸は23.4°傾いています。 そのため緯度が66.6°を超える地点では、一日中太陽が沈んでいたり出っぱなしになったりすることがあります。 北緯66.6°以上の地点を「北極圏」、南緯66.6°以上の地点を「南極圏」と言います。

一日中太陽が沈まない、もしくは夜中でも薄明るい程度にしか太陽が沈まない現象を「白夜」と言います。 現地の暦で夏に起こる現象で、つまり北半球では夏至、南半球では冬至の前後に起こります。

逆に一日中太陽が沈んでいる、もしくは日中でも薄暗い程度にしか太陽が昇らない現象を「極夜」と言います。 現地の暦で冬に起こる現象で、つまり北半球では冬至、南半球では夏至の前後に起こります。

極夜や白夜は緯度が高いほど日数が多くなり、南北極点では白夜と極夜が半年ごとに入れ替わります。 考えれば理解できることではあるのですが、我々の常識と違うのでなんだか納得できないですね。

白夜と言えばキョクアジサシという渡り鳥がいて、白夜を渡る鳥として有名です。 つまり夏至には北極圏に、当時には南極圏に渡っていきます。白夜を見る機会があればついでにバードウオッチングしてみるのかも良いかもしれません。

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