都会で星空が見えないのは街が明るすぎるから

夜空に輝く満点の星空は都会では見ることができません。 立地の差でしょうか?それとも空気が汚れているから?

それもないとは言いませんが、主な原因は都会の夜が明るすぎるからです。 夜空までボウッと明るくなってしまって、輝きの鈍い星が隠されてしまうからなのです。

都会で星空が見えない理由

都会に住んでいると夜は月と輝きの強い星ぐらいしか見えませんが、田舎で夜空を眺めると綺麗な星空が見えます。 都会で星空が見れないのは、都会の夜が明るすぎるのが原因です。

星は一部を除けばそんなに強く光るものではありません。 地球から見える輝きの強い星から1等星、2等星と順に分類し、肉眼で確認できるのは6等星までとされています。 各等星の明るさの差はおよそ2倍で、1等星と6等星は100倍の差があります。個数は以下の通りです。

等星個数
1等星21
2等星67
3等星190
4等星710
5等星2000
6等星5600

輝きの強い星ほど数が少なく、輝きが少なくなるにつれて数が増えていきます。 ちなみに7等星以降もどんどん増え、13等星になると500万個を超えます。

1~6等星までの総数は8600個ですがこれは「地球上から見える」数なので、地球の一地点から確認できる星の数はこの半分の4300個です。 また地平線ぎりぎりの星は地形などの問題で確認できないので、実際に見える星の数は2~3000個ぐらいと言われています。

輝きの少ない・見えにくい星ほど数が多いので、満点の星空を見るには、5等星6等星まで見える条件を揃えなければなりません。 そこで都会の夜の明るさが問題になります。

人の目には「明るい場所では入ってくる光を減らす(=明順応)」「暗い場所では入ってくる光を増やす(=暗順応)」機能があります。 輝く星も光なので、明るい場所では明順応で輝きが減り、暗い場所では暗順応で輝きが増したように見えます。

そして暗い場所でならギリギリ見える5等星や6等星は、明るい場所では明順応によって輝きが鈍り肉眼で確認できなくなります。 だから光の多い都会では満点の星空を見ることができないのです。

都会でも大規模な停電でも起きて街中が真っ暗になれば満点の星空を見ることができるかもしれませんね。 もっともそんな状況では星空を眺める余裕はないかもしれませんが。

見えない流れ星が流れまくっている

星空と言えば見どころは流れ星です。 サッと輝いては消えていくその様子はなんとも儚く美しいものがありますね。

そんな流れ星にも当然明暗があり、暗いと人間の目には見えません。 そして夜空には人間の目には見えない流れ星が流れまくっています。

高感度カメラや双眼鏡を通してみると肉眼以上に星がよく見えるので、天体観測なんかの時に持っていくと面白いかもしれませんね。 お星さまに願いごとし放題になるでしょう。

輝く星は既に消滅している可能性がある?

実は我々が見ている星空は、過去の星が放った光です。 一見煌びやかに見える星でも、実はとっくの昔に消滅している可能性もあります。

星が輝いているのは、太陽のようにそれ自体が輝いている「恒星」か、月のように光を反射している「惑星」であるからです。 しかしその光は地球に届くのに時間がかかります。

光の速度は10.8億km/hととんでもない速度で、1秒間に地球を7周半も回ることができます。 しかし宇宙規模で見ると、星々の間を移動するのにそれなりの時間がかかる速度です。

例えば太陽は夜空の星々と比較すると至近距離にあると言っても差し支えない位置です。 しかしその太陽からでも地球に光が届くには8分19秒もかかります。なので太陽が爆発しても8分ちょっとの間は差し支えなく過ごすことが可能です。

これが星々となるととんでもない距離になります。 あまりにもとんでもない距離過ぎて、まともに距離を書くことすら面倒です。 なので光が1年に進む距離を「1光年(約9兆4600億km)」として、光年単位で距離を表します。

比較的近場にあるアルファ・ケンタウリですら4.4光年離れており、オリオン座なんて600光年以上離れています。 もし500年前にオリオン座が爆発して消滅していても、地球の夜空には普通に光っているし、我々は星の消滅を認識することすらできないのです。

ちなみに地球から肉眼で見える最も遠い星は6等星「カシオペヤ座V762」でその距離は16,000光年先です。 カシオペヤ座V762から地球に届く光は、縄文時代の始まった頃よりも更に前に放たれた光なのです。

これでも全体の星々に比べれば近い方で、確認されている中で最も遠い天体なんて100億光年を平気で超えてきます。 地球が出来たのが46億年前頃なので、それよりも遥かに過去に放たれた光が今頃地球に届いているのです。 ついでに言うと宇宙は膨張し続けているので、現在は同じ時間で光がたどり着けません。

そんな事を考えながら田舎で星空を見上げてみると、星々に何だかロマンを感じます。 「悩んだ時は星空を見ろ」と言いますが、億光年とか途方もない単位の前では人の悩みなんてちっぽけなものなのかもしれませんね。

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