一時期に集中して大発生する生存戦略を持つ動物

周期ゼミ

被捕食者となる動物が増えると、豊富なエサにありつけるようになる捕食者の数もまた増えます。 捕食者の数が増えると被捕食者が減り、ろくなエサにありつけなくなる捕食者の数が減ります。

こうして生態系のバランスが保たれていますが、中にはこの隙を付く生態を持つ動物もいます。 周期ゼミを例に見てみましょう。

一定周期ごとにしか地上に姿を見せない周期ゼミ

ハチに捕食される周期ゼミ

セミの中に「周期ゼミ」と呼ばれるものがいます。 地域一帯の世代が決まった周期ごとにしか地上に出てこない特性を持つセミです。

13年ゼミと17年ゼミの2種がいて、名前がそのまま周期を表しています。 地上に出てくるのは13年ゼミは13年に一度、17年ゼミは17年に一度です。

その結果一定周期ごとにセミが大発生します。 もうそこらじゅうの木や壁にびっしりセミが張り付きます。

そうなると捕食者はセミを食べたい放題になるのですが、この周期ゼミなんと襲われても逃げません。 あまりに多くのセミがいるため捕食者が満腹になるのも早く、多くのセミが生き残れるからです。

その夏が終わるとセミの成虫は死に、新たな命はまた次の周期を待ちます。 そして豊富なエサを食べて栄養満点になった捕食者もまた、沢山の次世代を産みます。

しかしここで問題が起きます。 周期ゼミはしばらく地上に出てこないため、増えた捕食者はいきなり食料不足に見舞われます。 前年には食べきれないほど豊富にいたセミたちは影も形もないのですから…

そうして周期ゼミは捕食者の数が減った周期年後にまた大発生するのです。 これは自分の種族をたくさん残すのにとても都合の良い習性です。

集団で出産するヌー

オグロヌーの群れ

少し毛色は違いますが、オグロヌーの出産もこれに当たります。 出産のシーズンになると大量のメスが集まって集団で出産を行います。 生まれる子の数は数十万頭にものぼり、いきなりヌーの個体数が激増します。

この光景はとても目立つので、嫌でも捕食者の目に留まってしまいます。 生まれたばかりの赤子は恰好の獲物ですので、多くの子ヌーが捕食者に食べられてしまいます。

なぜオグロヌーがこんな目立つ集団出産をするのかと言えば、それでも自分の子が襲われる確率が下がるからですね。 これはいわゆる「隣の奴が襲われている間は自分は襲われない」理論を利用した作戦です。

バラバラに子を産めば捕食者に見つかりにくい利点はありますが、見つかった端から食べられてしまいます。 子の成長もバラバラなので、常に襲われ続けることになります。

対して集団出産は捕食者に見つかりやすい欠点はありますが、捕食者が満腹になればそれ以上は襲われません。 子も一斉に成長していくので、ある程度時間が経てば生存率は飛躍的に上がります。

集団出産は一定の犠牲を出す前提の戦略ですが、しかし結果的には子の生存率を高めている訳です。

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