東京タワーの材料には戦車が使われている
東京のランドマークとしてお馴染みの赤と白の東京タワー。 スカイツリーができた後も東京の活気のおかげか来場数はむしろ増えているようです。
その東京タワー、実は材料の一部に戦車が使われていることはご存知でしょうか?
東京タワーの展望台から上は戦車から作られている
東京タワーは昭和33年に完成した高さ333mの電波塔です。 やけに3が並んでいますが、333mという高さは関東一円に電波を送るのに必要な高さを検討した結果こうなったとのことです。 狙ってこの高さにした感がすごいですけどね。
どうせ作るなら世界一の高さの塔を作ろうという考えもあったようで、当時世界一の高さだったエッフェル塔の300mを上回る高さを持つ塔として作られ、それから9年後にオスタンキノ・タワーに世界一を譲るまで東京タワーは世界一の高さを持つ塔でした。ちなみに東京タワーの後継として新たなシンボルとなった東京スカイツリーも世界一の高さを持つ塔として作られています。
さてその東京タワー、作られ始めたのは1957年なのですがその少し前に朝鮮戦争が起きています。 朝鮮半島の主権を巡って起きた韓国と北朝鮮の戦争で、韓国にはアメリカを中心とした国連軍、北朝鮮には中国・ソ連が付いて争い、民間人も含めると犠牲者は400~500万人にも上る激しい戦争でした。
その戦争には当然ながらアメリカ軍の戦車も参加しており、激しい戦火を潜り抜けた戦車の中にはボロボロになったものも多くあります。 それらをアメリカ本土まで持って帰るのは割とコストがかかりますし、古くなってきたのでわざわざ持って帰るより新型戦車を作りたいというアメリカの思いがありました。
戦車装甲は戦車の砲撃を受け止められるほどに丈夫に作るので、とても質の良い鉄でできています。 スクラップとなっても溶かして使えば、建材としても優秀です。
良質な鋼材がなく鉄不足だった日本とアメリカの利害は一致し、日本はスクラップ戦車90台を建材として買い取ったのです。 中には碌に戦闘の機会がなかいまま日本に運ばれてきた戦車(M26パーシング)もあり、燃料や弾薬も装填されっぱなしだったようですよ。
そして戦車から作られた鉄骨は東京タワーの展望台から上の部分に使われることとなりました。 東京タワーのおよそ1/3の高さ分が戦車から作られている計算になります。
平和利用と言えるような、勿体ない使い方してるような、政治の都合で無理やり使われているだけのような… この話を聞いた感想は人によって様々なようですが、そんな経緯から東京タワーの材料に戦車が使われているのです。
高い建造物の赤白模様は航空法で定められている
東京タワーは赤と白のシマシマ模様が塗られています。 この赤白塗装は他にも高い煙突、巨大な建造物、クレーン船などに施されていることがありますが、実はこれ航空法で定められたものです。
ある程度の高さを持つ建造物は航空機がぶつかる可能性があるので分かりやすく視認できなくてはなりません。 だから赤白塗装で目立つようにしなければならないと法律で定められ、東京タワーはこのような色になったという訳です。
ちなみに東京タワーの数年後にできた神戸ポートタワーも上部が赤白のシマシマ模様に見えるように塗られています。 神戸ポートタワーは当初は全面銀色に塗る予定だったのですが、航空法の関係で断念して現在の赤白の縞模様塗装になったそうです。 もしかすると東京タワーも別の色に塗る予定があったのかもしれませんね。
法改正により2000年からは赤白模様の代わりに昼間航空灯を点けておけば良いことになりました。 東京タワーの後継である東京スカイツリーは東京タワーより高いのに真っ白ですが、これは日中に障害灯を点灯しているため赤白塗装でなくても問題ないという訳です。