「五月晴れ」「五月雨」「五月蠅い」は全て旧暦=六月の話

青空と風に揺られる沢山のこいのぼり

五月の清々しい晴れの日を表す言葉に「五月晴れ」があります。 天気予報でも「明日は五月晴れになるでしょう」なんて表現が使われますね。

実はこの言葉は明治以降に大きく意味が変わりました。 元々は旧暦の五月=現在の六月の話で、梅雨晴れを指す言葉だったのです。

「五月晴れ」は元々は六月の梅雨の晴れ間の意

虹がかかった青空

五月の晴れと書いて「五月晴れ(さつきばれ)」と言います。 カラッとした清々しい晴れの日のことを指す言葉で、天気予報や朝礼の挨拶などでお馴染みですね。

この言葉を辞書で引いてみると、上記の他に「陰暦五月の梅雨の合間の晴天のこと」とも書いてあります。

陰暦とは日本が江戸時代以前に使っていた旧暦(太陰太陽暦)のことです。 新暦とおよそ1か月の差異があり、陰暦五月は新暦の六月頃にあたります。

明治時代になって新暦に変わり、その影響で五月晴れの意味が誤用して用いられ、時代が下ると共に誤用側が浸透していったようです。 今では五月晴れを昔の意味で使うことはまずありません。

五月晴れは夏の季語

五月晴れは俳句の季語として使われます。 現代の感覚では春の季語のように思えますが、暑い夏の訪れを予感する梅雨の晴れ間である夏の季語です。

有名なのは正岡子規の「うれしさや 小草彩もつ 五月晴」でしょうか。 この句が詠まれたのは明治時代なので、まだ五月晴は今の六月の意で使われたと思われます。

「五月雨」は六月の雨の降り様

雨に濡れた葉

五月の雨と書いて「五月雨(さみだれ)」と言います。 時々耳にする機会がありますが、よく意味が分からない・ピンと来ない人が多い言葉ですよね。

しかし五月雨も陰暦五月の雨だと分かれば何のことはありません。 五月雨とは六月の梅雨時によくある、途切れながらも長く振り続く雨のことを言います。

五月雨は夏の季語

五月雨も五月晴れと同様、夏の季語です。

五月雨で有名な句と言えば、松尾芭蕉の「五月雨を あつめて早し 最上川」ですね。 梅雨の雨で増水した最上川の流れが速いって句です。

「五月蝿い」は六月のハエの如き

拡声器を持って叫ぶ少女

五月の蝿と書いて「五月蝿い(うるさい)」と言います。 言葉の通り、五月の蝿のようにうるさいことに由来しています。

都会住みだとあまりハエを見る機会がないかもしれませんが、五月の蝿はそんなにうるさくありません。 なのに五月の蝿と書くのは、これも陰暦準拠だからです。

ハエは25℃前後で特に活発になり、一番五月蠅いのは新暦の六~七月と九~十月頃です。

「五月病」は五月にかかる病

五月の病と書いて「五月病」と言います。 学校や職場などが四月に新環境になり、それに起因するストレスで嫌になって気が沈むことを言います。

これはそのまま新暦五月の話です。 新環境が嫌になるのにそう時間はかかりませんからね。

五月病は正式な医学用語ではなく、新環境のストレスにより五月頃に発症した精神病をまとめてこう呼んでいます。 新環境では誰しも多少のストレスはあるものですが、症状が重ければ早めに病院で診てもらいましょう。

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