日本国歌「君が代」の歌詞は平安時代に作られたもの

君が代は言わずと知れた日本の国歌で、入学式、卒業式、政(まつりごと)やスポーツなどで歌われています。 日本で最も知名度が高い歌のひとつですが、実は歌詞の意味を知らずに歌っているなんて人も少なくありません。

私自身も高校生までは意味不明な記号の羅列と考えていましたが、理解すればなるほど納得できる歌です。 君が代がどんな歌なのか、その成立と供に見てみましょう。

君が代の歌詞を解説

君が代の歌詞のネタ元は、平安時代に編纂された「古今和歌集」にあります。 1111首の歌がジャンル別に20巻で紹介されている歌集で、その7巻「賀歌(※長寿・繁栄を祝い・喜ぶ歌)」に収録されています。

わが君

わが君は(あなた様が)
千世に八千代に(千年も数千年も)
さざれいしの(小さな石が集まって)
いはほとなりて(岩となり)
こけのむすまで(苔が生い茂るまで)
(繁栄が続きますように)

一行目が「わが君」となっていますが、これは後に「君が代」に変遷していきます。 「わが君」は自分の主君を指す意味が強いのに対し、「君が代」は主君、敬愛する人、親しい相手、世の中など広い対象に使える言葉です。

「君が代」が初めて登場したのは鎌倉時代の歌集「和漢朗詠集」ですが、その頃はまだまだ「わが君」が主流でした。 しかし江戸時代頃には誰に対してでも歌える「君が代」が主流になっていったのです。

君が代はその性質上、誰に対して歌うかで意味が変わります。 主君に対してなら治世が長続きするよう、父母に対してなら長生きできるよう、恋人に対してならいつまでも仲睦まじくと読めます。

いずれにせよ「君が代」は、末永い幸福や繁栄を願う歌であると言えます。

君が代は天皇賛歌?

君が代は「天皇賛歌」と言われることがありますが、これは主に戦前の日本政府のせいです。 天皇神格化政策の一環で国民にそう教え込んでいたのが原因ですね。

また平成11年の君が代法制化の際に出された政府見解も、未だにそれを否定していないように読めます。 その意味では天皇賛歌であることも否定できないかもしれません。

しかし前項で言ったように「君が代」という言葉はとても広い意味を持ち、どうにでも解釈できます。 各々が好きな対象に向けて「君が代」を歌えば良いのではないでしょうか。

さざれ石についての豆知識

君が代で言う「さざれ石」は、細かく小さな石のことです。 しかし学名「石灰質角砕石」という、小さな石が集まって出来たような見た目の大きな石もまた「さざれ石」と呼ばれています。

君が代の作者は石灰質角砕石にインスピレーションを受けて「わが君」の短歌を詠んだと言われています。 きっと「この小石が集まったような岩は、さざれ石が巌になる途中の姿だろうか。うむ、一首浮かんだぞ!」みたいなことがあったのでしょう。

そんな経緯があったからか、今日では石灰質角砕石のことも「さざれ石」と呼ぶようになりました。 しかし君が代におけるさざれ石は、あくまで小さく細かい石のことを指しています。 混同しないように気を付けましょう。

さざれ石(石灰質角砕石)は日本各地に存在しています。 信仰の対象として神社に祀られているものあり、君が代と同じく長寿や繁栄をご利益としているものが多いです。

君が代の由来となったさざれ石(石灰質角砕石)は、岐阜県揖斐川町のさざれ石公園にあります。 君が代発祥の地として有名なので、機会があれば寄ってみてください。

君が代が国歌になった経緯

平安時代から歌われていたと言える「君が代」ですが、元々国歌として歌われていた訳ではありません。 君が代が国歌となったのは明治時代であり、ほとんど成り行きで国歌となりました。

フェントン版「君が代」ができるまで

黎明期の明治日本には国歌という概念はありませんでした。 そんな日本に国歌を定める切っ掛けとなった人物が、日本に招かれて西洋音楽を教えていた英国人フェントンです。

日本にイギリス王族が来ることになり、フェントンは西欧の外交儀礼では互いの国歌を演奏するのが習わしであることを説明します。 薩摩軍人・大山弥助は薩摩琵琶曲「蓬莱山」の一節にある「君が代」を推薦し、フェントンが曲を付けてとりあえずの儀礼曲としました。

そうして出来たのがフェントン版「君が代」ですが、現代のものとは曲が全然違います。 参考動画で確かめてみてください。

現代版「君が代」ができるまで

フェントン版は日本人の音楽性に合わないとされ、後に宮内省とドイツ人音楽教師エッケルトによって曲が付け直されました。 そうしてできたのが現代に歌われている「君が代」の原曲です。(テンポや音程が若干違います)

君が代は明治13年の天皇誕生日に初演されて以降、広く儀礼曲として演奏されました。 正式な国歌とは定められていませんでしたが、明治中期には文部省の告示などにより事実上の国歌として扱われました。

ちなみに君が代が国歌として正式に法律で制定されたのは平成11年(1999年)のことです。 初演から法律制定まで、実に100年以上の時間がかかったことになります。

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