ネットに書いたことは消えない!そんなネットと「忘れられる権利」

thinking

人間何年も生きていると、消してしまいたい・忘れたい思い出が沢山積み上がります。 あなたにも夜中に急に思い出して布団の中で悶える思い出の一つや二つはあることでしょう。

ネットのない頃は大抵の物事は時間の経過と共にすり減っていき、黒歴史も良き思い出となりました。 しかしネット社会においては厳重なバックアップが災いして、完全に当時のまま残っていたりします。

これは大切な思い出をそのまま残せる一方で、忘れたいことや消したいことまで当時の姿のままに残っています。 消せば消えると思っている人、世の中には消したページを見る手段もあるんですよ…

一度インターネットに上げたものを消すのは難しい

sns

インターネット上での発言や行動を完全になかった事にするのは難しいです。 「消せばいいだけじゃないか」と思うかもしれませんが、単純に消しただけでは解決しない可能性があります。

例えばインターネットアーカイブというサービスがあり、これはネット上の様々な情報を定期的にアーカイブとして保存しています。 黒歴史となったブログを削除したのにアーカイブにはしっかり残っていることも考えられます。

自分が書いたものですら完全に痕跡を消すのは途方もなく難しい作業なのですが、これがニュースや炎上騒動に取り上げられた場合は更に途方もなく難しい作業となります。 各サイトに削除要請を出し、場合によっては(というか大抵の場合)法的手段を検討しなくてはならないでしょう。 ただ沢山のサイトに取り上げられてしまった場合は全てのサイトを訴えるのは現実的ではありませんし、よしんば削除させたとしてもアーカイブには残るので完全に消しきるのはまず無理です。

あなたの名前を検索して「こいつは犯罪者だ」とか「最低な人間だ」とか出てくる場合、今後の友人作り・就職・結婚などに多大な影響を及ぼすことは想像に難くありません。 何かとんでもないことをしでかしたのなら仕方ないかもしれませんが、些細な間違いや若かりし頃の過ちがいつまでも出てくるのはいささか気の毒なようにも思います。

中には根も葉もない中傷やデマがさも真実のように語られて人生が歪むことすらあります。 スマイリーキクチ中傷被害事件とか濡れ衣で叩かれた事で有名ですよね。完全にデマだと分かった今でさえも誹謗中傷は続いています。

MEMO

スマイリーキクチ中傷被害事件とは、お笑い芸人であるスマイリーキクチ氏がある殺人事件の真犯人であるというデマによる中傷を受けた事件です。

不特定多数の人間から大量の中傷が長期間に渡ってなされ、加害者が一斉に摘発される事態にまで発展しました。

例え犯罪者であっても罪を償ったら一応は許されるはずですが、情報が残り続けることによって更生が阻害されたり、その子や親族までもが過分に虐げられることにも繋がります。 ネットの炎上騒動などを見ていると、やった事に対しての騒動が大きすぎる場合が沢山あるように見受けられます。

過去の情報も検索一つで気軽に出てくるようになって便利になったことは確かですが、その便利さゆえの弊害が出てしまっているのではないでしょうか。 「ネット上で実名を出すのは愚かなこと」という風潮すらあります。もっと気軽に使えるようになるといいんですけどねえ…

その解決方法のひとつとして「忘れられる権利」が議論されることがあります。 そちらを少し紹介しておきましょう。

忘れられる権利とは

forgotten

1992年に日本発のウェブサイトが作られてから今日までにウェブは凄まじい進化を遂げ、とても身近なものになりました。 ウェブとの関わり方も人それぞれですが、中には日記として使ったり、自分の意見を発信している人がいます。

しかし大抵の場合は未来のあなたや親しい間柄の人が見た時にどう思うかまでを考えて書いてはいませんよね。 それが普通ですがそれが将来のあなたを苦しめるかもしれません。

例えばあなたが中高生ぐらいの頃、不良の真似事をしてみたり、大人ぶって議論してみたり、通ぶったりしたことがあったりしたでしょう。 しかしその時に格好いいと思ってしていたことは、齢を重ねるうちに恥ずかしい・忘れられたい思い出に変わることがあります。

ひと昔前なら「こいつは昔ワルでさ~」と時々弄られるぐらいで済んだかもしれません。 しかしネットが発達した今日では、昔のSNSを探して掘り起こせば当時の鮮明な記録をそのまま表示させることができるのです。 かくいう私も昔のtwitterアカウントを見ると嫌な汗が出てきます。

もしあなたの友人・恋人・家族があなたの書いたブログやSNSを発見してじっくり閲覧したら… どんなことを書いているかにもよりますが、あまりいい気はしませんよね。 悪い思い出はもちろん、いい思い出であっても知られたくないものはあります。

人間生きていれば忘れたい事や知られたくない事が沢山できます。しかしネットに記録された情報は簡単に消えてくれません。 つまり忘れてくれないのです。これを忘れてもらうのが「忘れられる権利」という訳です。主にインターネット上のプライバシー保護の観点から議論され、特に欧州では「消去権」として権利が認められています。

ただ日本においては名誉棄損やプライバシー侵害による申し立てと同一視されており、独立した権利としては認められていません。 検索エンジンなどはガイドラインに沿ってある程度対応してくれますが、サイトへは削除要請に応じてくれなければ訴えるしかありません。容易に痕跡を消すことができないのが今日の現状と言えます。

日本において忘れられる権利を認めるべきでしょうか?それともない方が良いでしょうか?

eyecatch

自分に都合の良い情報ばかり集まる心理「確証バイアス」

eyecatch

「ハッカー」と「クラッカー」の違い

ITの記事

eyecatch

プログラムの「hoge」や「foo」「bar」は無意味なメタ構文変数

eyecatch

ホームページとウェブサイトとブログの違い

eyecatch

プログラミング言語とマークアップ言語(HTML・CSS)の違い

eyecatch

キロバイト、メガバイト、テラバイト…まだまだ上があるバイトの単位

eyecatch

見るだけでも危ない!違法サイトの危険性

eyecatch

「http」と「https」の違い

ITの記事一覧HOME