1%を100回試行して1回でも当たる確率は63.6%
1%の確率で当たるクジがあったとします。 これを100回引いた場合の期待値は0.01 * 100 = 1でおよそ1回当たる期待ができます。当たり前ですね。
しかし実際にこのクジを沢山の人が回した場合、100回引いても当たらない人がゴロゴロ出てきます。 なぜなら100回引いて全てハズレとなる確率が36.4%もあり、当たる確率が63.6%しかないからです。
1%を100回試行した結果の分布
「1%の確率で当たるものを100回引いたのに当たらないのはおかしい」のようなことを言う人を時々見かけます。 まあそう言いたくなる気持ちは分かりますし、発言者も本気で考えている訳ではないと思います。
しかし正確な確率まで把握している人は多くありません。 なので実際に計算してどれぐらいおかしいことなのか調べてみましょう。
確率1%を100回試行した場合で考えてみましょう。 この結果は1回も当たらなかったケースから100回全て当選したケースの101通りがあります。
主な結果は以下のようになります。
- 1回も当たらない確率 = (99/100)^100 = 約36.6%
- 1回だけ当たる確率 = (1/100)^1 * (99/100)^99 * (100 C 1)=約37.0%
- 2回以上当たる確率 = 100 – (36.6 + 37.0) = 約26.4%
- 100回全て当たる確率 = (1/100)^100 = 0を199個書いた後に1%
そんな訳で結果ごとに分けた場合、1回も当たらない確率と1回当たった確率がほぼ同じで約37%、2回以上当たる確率は全てひっくるめても26.4%という結果となります。
仮に100人集めてこのクジを100回ずつ引いた場合、期待値通りの結果になると1回当たる人が37人、1回も当たらなかった人が37人、2回以上当たる人が26人です。 こう考えると当たらなくても当たり前と見ることができますね。
まあ1回以上当たる確率で見ると63.4%なので、運が悪いと言えば悪いのです。 しかし63.4%は全幅の信頼を置けるような数字ではないことは理解できると思います。
なお200回引けば1回以上当たる確率は87%、300回引けば1回以上当たる確率は95%となります。 95%ぐらいならようやく信用できるかもといった感じですね。
陥りがちな確率の罠
確率は分かっているつもりでも分かっていないことがあります。 変な勘違いしていないか、簡単な確率問題を解いて確認してみましょう。
ルーレットに見る確率の罠
問題
ルーレットは数字の他に色を持っており、1/2の確率で赤か黒になります。 そこでA君は必勝法を思いつきました。
ルーレットが5回続けて同じ色を出す確率は1/16しかありません。 つまりは「4回続けて同じ色を出したルーレットを見つけて、次に逆に張れば15/16の確率で勝てる」と考えました。
A君が根気よく観察した結果、4回続けて赤を出したルーレットを見つけました。 そこでA君は全財産を黒に賭けます。さて問題、A君はこの勝負にどれぐらいの確率で勝てるしょうか?
答え
答えは「1/2」です。もしかしたら勝てるかもしれないですし、負けるかもしれません。 これを15/16だと考えた人は確率の罠に陥っています。
確かにルーレットが5回続けて同じ色を出す確率は15/16です。 しかしそれは1度も回していない地点から見ての話であり、1回のみの勝負を切り取ればどこも1/2です。
つまり15/16で当てるには、5回続けて同じ色に張り続けなければならないという訳です。 いくら4回続けて同じ色を出したルーレットを探しても、そこから勝負したら確率は1/2でしかありません。
ガチャに見る確率の罠
もう一つ問題を解いてみましょう。
問題
A君は1%の確率で当選するガチャから当たりを引きたいと考えています。 つまり100回引けば63.4%、200回で87%、300回で95%当たります。
A君はこれまでに200回引きましたが、残念ながら当てることができませんでした。 しかし「もう100回引けば95%当たる、もう100回だけ引こう」と考えました。
さて問題、A君が次の100回で当たりを引ける確率は何%でしょうか?
答え
答えは「63.4%」です。 今まで200回外していることはこれからの確率に何ら関わりありませんので、95%当てるには今から300回の試行が必要になります。 しかしA君がやろうとしているのは100回の試行でしかなく、断じて95%ではありません。
ただし最後の100回を外した結果「95%の勝負に負けた」と考えるのは間違いではありません。 合計300回引いている訳ですからね。
まとめ
以上、案外間違える人の多い確率の話でした。
この辺は分かっているつもりでも混乱しがちな所で、特に勝負に熱くなっていると見えにくくなります。 また正しく確率を導き出せたとしても「今まで運が悪かったから、次は勝率50%でも勝てる」など意味不明な理論を展開するケースも見受けられます。
こうなったら大抵は酷い結果になるので、ギャンブル然りガチャ然り気をつけましょうね。
なおソシャゲやパチスロの場合、外れた分が期待値に上乗せになる仕様になっていることもあります。 そうなると尚更意欲をそそられますが、これを繰り返すと立派な依存症患者になってしまいます。 ほどほどにしておきましょう。