飛行機のパイロットと副操縦士は別の食事を食べる

国際線などの長時間飛行する飛行機では機内食が楽しみのひとつです。 ファーストクラスに乗れない私はあまり機内食を美味しいと思ったことはありませんが、それでも機内の数少ない娯楽として楽しみなものです。

さて、長距離線では当然パイロットも機内で食事をします。 その時パイロットと副操縦士で違うメニューを食べることはご存知でしたか?

リスク管理のためパイロットと副操縦士の食事は別になる

飛行機ができた当初はパイロット、副操縦士、機関士の3人で操縦していました。 しかし今日ではコンピュータが発達し様々な作業を自動でやってくれるようになったため、パイロットと副操縦士の2人体制となりました。

8割の作業をコンピュータが行っていると言われ、操縦に限ればパイロット一人でやっています。 それでも2人のパイロットを乗せている理由は、作業の分担や休憩時の交替の他に、危機管理の側面があります。

一人のパイロットしかいないと作業が忙しくなるのはもちろん、トイレ・食事・睡眠などの時間が取れません。 ご飯を片手に操縦したり、客室乗務員に「ちょっとトイレにいくから代わってくれ」なんて言うパイロットは嫌ですよね。 コーヒー片手に眠そうな目をこすりながら操縦されても困りますし。

もっと怖いのがパイロットに何かあった時です。 例えば病気になって操縦できなくなった場合、そこで乗員乗客の命運が尽きてしまいます。 なのでパイロットは二人体制なのです。

パイロットと副操縦士は二人体制ですが、もし一緒に倒れてしまうと折角二人いる意味がありません。 例えば同じ食事を食べて二人とも食中毒になったら困りますよね。

だからパイロットと副操縦士は機内ではもちろん、地上でも別々の食事を取る決まりになっています。 食材や調味料のレベルで別のものを取るため「お前のハンバーグ美味そうだから俺のからあげと交換しようぜ」なんてことも禁止されています。

これなら食事で二人一緒にダメになる確率はグンと減りますし、一人が駄目になっても残った一人で近くの飛行場に緊急着陸するぐらいは問題なくできるのです。

ちなみにどちらの食事を選ぶかはパイロットが決めるそうです。 嫌いなおかずが入っていても副操縦士に選択肢はありません。

他にも片方のパイロットが離席する際には残った方は酸素マスクを付けて操縦して急な減圧が起きても意識を失わないようにするなど、なるべく操縦者がダメにならないように様々な規則があります。またパイロットに限らず様々な事態を想定して、なるべく事故にならないようにリスク管理が行われているのです。

そうして飛行機は100万フライトに数件にまで事故を減らしているのです。 飛行機事故は起きてしまうと大惨事となるため事故が多い印象がありますが、事故に遭う確率でみると一番少ないのです。 飛行機は乗り物で一番安全と言われるほどなんですよ。

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