かまくらが外より温かい理由は「風」と「断熱効果」
雪が降ったら作りたくなるものと言えば雪だるまですが、今日は次点のかまくらについてお話します。
かまくらは雪の塊なのに意外に暖かいとはよく言われますが、何故かはご存知でしょうか。 端的に言えば「風」と「断熱効果」によるものです。
かまくらが暖かい理由
かまくらの材料は雪なので、触るととても冷たいです。 それにもかかわらず、かまくらの中は外よりも大分温かくなります。
かまくらが暖かい理由は、「風」と「断熱効果」の二点です。
風が入らない
風の有無で気温は変わりませんが、体感温度は大きく変わります。 気温0℃・湿度80%の時に風速で体感温度がどうなるか見てみましょう。
風速(m/s) | 体感温度(℃) |
---|---|
0(無風) | 4.4 |
2(扇風機の弱) | -8.6 |
5(扇風機の強) | -14.2 |
無風状態なら体感温度は気温より高いのに、少しの風で一気に下がりましたね。 このように風は体感温度に影響し、特に寒い場所では少しの風で大きく体感温度が下がります。
かまくらは四方を雪の壁に囲まれており、唯一の出入り口は風下に向けて作られます。 これにより内部は無風状態となるので、かまくらを暖かく感じるのです。
断熱効果
「かまくら効果」という言葉をご存知でしょうか。 家の屋根に雪が積もると室内が暖かくなる現象のことを言います。
雪には空気が含まれており、空気には優れた断熱効果があります。 つまり雪は内部の熱を閉じ込めるバリアのような働きをするのです。
かまくらは雪の断熱効果により、人の体温によって暖められた内部の熱を逃がさず、冷えた外部の冷気を中に入れません。 この断熱効果により、かまくらを暖かく感じるのです。
MEMO
かまくらの入口を木の板などで物理的に閉じる手もあります。
ただし密閉したかまくらで火を使うと一酸化中毒になりかねないので気を付けましょう。
かまくらは溶けにくい
かまくらの内部で火を付けて暖を取ったり、熱々のお鍋を突いたりしてくつろぐことがあります。 こうなると内部の温度は0℃を遥かに上回り、かまくらが溶けて崩れてしまうように思えるかもしれません。
しかしかまくらの内部は空気があまり動かないため、中心の温度は高くても壁の近くの温度は低く保たれています。
そのため内部の熱で雪が溶ける速度は非常にゆっくりです。 加えて外部からは冷やされ続けるため、そう簡単に溶けて崩れたりはしません。
かまくらの作り方
ついでなのでかまくらの作り方をお話しします。 日本ではかまくらを作れるほどに雪が降る場所は多くありませんが、機会に恵まれたらぜひ作ってみてください。
雪を集めて雪山にする
それなりのかまくらを作るには大量の雪が必要になります。 まず雪をかき集めて雪山を作りましょう。
小さめのものでも2m、本格的なものなら3mは雪山が必要です。 雪山が出来たら、側面と上面を足やスコップの裏でしっかり叩いて固めましょう。
雪を固くする
本格的なかまくらを作る場合は、雪をしっかり固くします。 水をかけて数時間冷気に晒す、雪山を2~3日放置するなどして雪を固くしましょう。
遊びで作るものならこの工程は不要ですが、雪の強度が低いのに大きな穴を掘ると崩落する危険があります。 その場合は穴を小さめに堀りましょう。
中をくりぬいて完成
かまくらの風下方向に穴を空け、中を掘っていきます。 出入口が大きすぎると風が入り込んでくるので、小さく空けて中を広く掘りましょう。
雪の強度が低い場合は、くり抜く高さを雪山の半分ぐらいに留めておくのが無難です。 中で火を焚けば内壁が溶け固まって強度が上がるので、不安なら一度火を入れておきましょう。
以上、かまくらの作り方でした。
かまくらは秘密基地にしたり、ご飯を楽しんだり、一泊してみたりなど、色々な楽しみ方があります。 機会があれば是非作ってみてください。