手を洗っても菌の数はすぐ元に戻る
外から帰ってきたりトイレで用を足した後は手を洗います。 多くの人が「手にいる菌を洗い流すために手を洗っている」と考えていると思いますが少し違います。 手洗いは一時的に菌の数は減るものの、すぐに元の数に戻ります。
重要なのは「ヤバい菌を洗い流す」ことで、手に付いている菌を全滅させることではありません。 だから手が荒れるほどの念入りな手洗いは逆効果になるんですよ。
常在菌と通過菌
皆さんは手洗いを心がけているでしょうか? 手洗いは泥汚れや油汚れなどを落とすと同時に、雑菌を洗い流す意味もあります。
手を洗うと当然手の表面にいる菌は洗い流されるのですが、これは一時的なものであり時間が経つとまた手の表面は細菌だらけになります。 例えるならば屋外でバルサンを焚くようなもので、一時的に追い払うことはできますが根絶はできません。
それでは手洗いには意味がないのかと言えばそんなことはありません。 手洗いは有害な菌を洗い流すための行為だからです。
一口に菌と言っても生物にとって必ずしも有害とは限りません。 無害な菌も多いですし、人間が生きていく上でいた方が都合の良い菌もいます。
人間の皮膚や体内に普段からいる菌を「常在菌」、そうでない菌を「通過菌」と言います。 常在菌は基本的に無害であり種類によってはむしろいた方がプラスに働くのに対し、通過菌は必ずしもそうとは限りません。 そして人にとって問題になるのは通過菌の中でもとりわけ有害なものです。
家の中には病人でもいない限り有害な菌はそう多くはいません。 しかし外出して外出中に菌を貰っているかもしれませんし、トイレ後は手に大腸菌が付いています。 (※大腸菌も全部が有害とは限りませんが中には非常に危険なものもいます。また大腸にいる分には無害でも、それ以外の場所では有害に作用するものもいます。)
そんな危険な菌を洗い流すために行うのが手洗いという訳です。 そして手洗いの後は空白地帯に常在菌が住みつき、有害な通過菌が付着しないようにけん制してくれます。
手洗いの目的は通過菌の排除
時々神経質なまでに手を洗う人がいますが、肌荒れが起きるまで洗うのはむしろ人体にとって悪影響を及ぼします。 手が荒れると常在菌の活動も弱まってしまい、その分有害な通過菌が幅を利かせるようになります。 過度な手洗いは一時的に無菌に近い状態にできますが、時間が経つとむしろ有害な菌が活発に活動するようになるのです。
なので手を洗う際には「通過菌を洗い流す」ことを念頭に置き、常在菌にうまいこと住み着いて貰える状態を保ちましょう。 タイミングは帰宅時、トイレの用後、くしゃみなどで体液を付けてしまった時、調理や食事の前後などが挙げられます。 有害な通過菌が付いてそうな時に手洗いできっちり排除しましょう。
ざっと水で流すだけでも十分効果はあるので、あまり神経質に洗う必要はありません。 ただトイレの後・帰宅時・風邪・食中毒などが流行している時などは念入りに洗った方がいいかもしれません。
要所要所で必要十分の手洗いを心がけましょう。