山の合目の決め方は適当で、10合目が山頂ではない山もある
山には合目が設定されており、大体の山は1合目から10合目までが設定されています。 皆さんのイメージでは、合目はの感覚的に大体等間隔で設定されているものという認識だと思います。
でも中には合目がかなり適当に設定されている山や、10合目が山頂ではない山もあるんですよ。
富士山に見る合目
富士山には登山ルートが4つ設定されています。 その一つ吉田ルートは山梨県側から登る最も人気の高いルートで、麓から登頂する場合に要する時間は12時間ほどです。 (頂上付近で渋滞に巻き込まれなければですが)
吉田ルートは標高850m地点の北口本宮冨士浅間神社がスタートとなります。 全体の所要時間から考えると1~2時間あれば1合目に付くはずですが、なかなか1合目の表記が見えません。
「この登山道には合目を表示していないのかな?」とか「まさか道を間違えた?」とか考えながら登っていると、忘れた頃に1合目が出てきます。 1合目の標高はなんと1420mと緩やかな上り坂を600m以上も登ったところにあり、登山口から2~3時間ほど歩いた場所にあります。 時間的にも標高的にも計算が合わず、表記を見ると「ええ、まだ1合目なの!?」となることでしょう。
しかし先を行くと2合目には1時間もかからずにあっさり辿り着きます。 0合目~1合目にかかる時間で、1合目~5合目を踏破できるほど開きがあります。 何かおかしいですね。
更に登っていくと7合目や8合目が沢山あります。 登山ルートにもよりますが「新7合目」の次に「元祖7合目」があったり、「8合目」があったと思ったら「本8合目」があったり、8合目を名乗る山小屋が乱立してどこまで行っても8合目だったりします。
昔決めたものだったり、新しく決めたものだったり、昔7.n合目だったものを全部8合目にしたりと色々あったみたいですね。 静岡県と山梨県の対抗意識が入り混じって山小屋の合目がリナンバされたりした結果、訳の分からない合目乱立状態になったという話です。
MEMO
静岡県と山梨県は富士山を南北に半分ずつ擁しており、よく対抗意識を燃やしています。
ちなみに富士山8合目から上の県境は明確に引かれていないため、山頂付近はどちらのものでもないという扱いです。 しかし富士山頂にある富士山本宮浅間大社の住所は静岡県となっており、それを根拠に静岡県民が領有権を主張したりしています。
この有り様を見ると「合目って一体何だよ」と思ってしまいますよね。 でも実は合目って、適当な目安でしかないのです。
合目とは
富士山の合目が適当なのは分かってもらえたと思いますが、それでは合目とは一体何でしょうか。 標高?距離?登山の難易度?
実は合目が何を基準に設定されているのか、明確な答えはありません。 合目が付けられたのは富士山が起源と言われており、どのように決めたかは以下の説があります。
- 提灯を灯しながら登り、油が一合切れた場所を合目とした説
- 酒を一升担いで登り、途中で酒を一合ずつ飲んだ場所を合目とした説
- 登山者の疲れ具合から大よそ算定して設定した説
これらの説はどれも何となく納得できる一方で、どこか腑に落ちません。 何にしてもこのように合目は適当な基準であり、山登りの大よその目安にしかならないものなのです。
中には十合目が山頂ではない山も存在します。 会津磐梯山は5合目が山頂で、恵那山は20合目が山頂です。これは流石に付け直して欲しいです。
合目は適当な基準ではありますが、全く役に立たないというほどでもありません。 山登りの際にはそれぐらいの意識で合目を見ておきましょう。