ジャイアントパンダとレッサーパンダはまったく別種の動物
パンダは動物園の人気者で、のんびりゴロゴロ過ごしたりボリボリ笹を食べたりとその姿はとても愛らしいです。 上野動物園なんて人が多すぎて「パンダの前で立ち止まらないでください」なんて言われる日もありますよね。
しかし我々が「パンダ」と呼ぶ動物は正確には「ジャイアントパンダ」であって、パンダという名前の動物は現在いません。 現在レッサーパンダと呼ばれる動物は以前はパンダという名前だったのですが、後述する理由により改名されました。 そしてレッサーパンダとジャイアントパンダは同じ「パンダ」という名前が付いているもののあまり近い関係にありません。
なおパンダの呼称が新旧でブレるので、本稿では全て現在の呼称で呼びます。
パンダたちが名付けられた経緯
昔々レッサーパンダもジャイアントパンダもまだ世界的には発見されていなかった頃、ネパールにてイギリスの冒険家によってレッサーパンダが発見されました。 そしてレッサーパンダは「パンダ」と名付けられることとなりました。
それから何十年も経った後、中国にてイギリスの冒険家によってジャイアントパンダが発見されました。 レッサーパンダとジャイアントパンダは生息域が近くどちらも竹林に生息して竹を食べ、またある程度生態が似通っていました。 現地ではレッサーパンダが成長するとジャイアントパンダになると考える人すらいたぐらいです。 そういった事情からかこれらの2種は近い動物と考えられ、大きいパンダなので「ジャイアントパンダ」と名付けられました。
このジャイアントパンダは珍獣として有名になり、パンダと言えば本家ではなくジャイアントパンダの方を指すぐらい知名度を上げました。 それを考慮して小さい方の本家パンダは「レッサー(小さい)パンダ」と名前が変更される運びとなったのです。
そうして「パンダ」という種は消えてなくなりました。 そんな訳で我々が普段パンダと呼ぶ動物は正確にはジャイアントパンダという種で、現在パンダという動物はおらず、昔はパンダはレッサーパンダのことだったのでした。
同じパンダという名前だけど、実は種として近くない
レッサーパンダとジャイアントパンダが動物分類で同じなのは食肉目(ネコ目)までです。 レッサーパンダがレッサーパンダ科なのに対してジャイアントパンダはクマ科で、あまり種として近くありません。
レッサーパンダとジャイアントパンダは同じ「パンダ」という名前が付いていますが、これは人の勘違いに依る部分が大きく別段近い関係にある訳ではありません。 レッサーパンダはイタチの親戚で、ジャイアントパンダはクマの親戚です。
ジャイアントパンダは一日中笹ばかり食べる熊らしからぬ生態だから惑わされたのかもしれませんね。 ジャイアントパンダは草食動物のように長い腸を持たないために笹からあまり栄養を吸収できず、一日中笹を食べていなければならないというよく分からない生態をしています。 実は生肉もたまに食べてはいるようですが…
こんなジャイアントパンダを見てクマだと判断するのは難しそうですし、レッサーパンダの仲間だと思ったのも仕方ないことなのかもしれません。 その勘違いから付いた名前は今日も修正されることなく今に至るのでした。