人工ダイヤモンドと天然ダイヤモンドは何が違う?
永遠の輝きのキャッチフレーズでお馴染みのダイヤモンド。 高価な宝石として確固たる地位を築いており、結婚指輪など特別な贈り物として重宝されています。 まあ燃やせば灰になるので永遠には輝きませんけどね。
さて、ダイヤモンドには地中から掘り起こした天然のものと人工的に作り出したものがあります。 しかしその価値には大きな差があるようで、人工物は天然物の1割ほどの価格しかありません。 全てが炭素原子のはずのダイヤモンド、一体何が違うのでしょうか?
天然ダイヤ・人工ダイヤ・模造ダイヤ
ダイヤモンドは大きく分けて「天然」「人工(合成)」「模造」の3つがあります。 このうち模造品は見た目がダイヤっぽいだけであり、ガラスやプラスチックなどから作られる偽物というか別物です。 しかし天然ダイヤと人工ダイヤはどちらも本物のダイヤモンドで、自然に出来たのか人の手で作ったのかが違うだけです。
さて、ダイヤモンドは何からできているか知っていますか? 答えは炭素原子で、鉛筆の芯や炭などと同じです。原子まで分解すれば鉛筆もダイヤも同じ炭素になります。
そんな炭素が高温・高圧の環境にあるとダイヤモンドとなります。 地球の地下数百kmの高温・高圧の環境で炭素がダイヤモンドとなり、それが地殻変動やマグマなどで地表近くまで移動し、それを採掘して我々の元に来たのが天然ダイヤです。 なので地下深くには大量の天然ダイヤモンドがざっくざくあると考えられています。
そして炭素を高温・高圧環境に置けばダイヤになるのであれば、人工的に環境を整えて作ることもできる訳です。 そうして人の手で作られたものが人工ダイヤです。昔は費用や品質に問題があって天然物には及びませんでしたが、現在は天然物と見紛うような品質の人工ダイヤが安価で市場に出回っています。
ダイヤの蛍光性で識別できる場合もある
天然ダイヤに紫外線を当てると青色や黄色の独特な発光がある場合があります。 これは天然ダイヤに混じっている窒素などの影響で、人工ダイヤではこの挙動を完全に真似ることはできません。 蛍光性は天然ダイヤを証明できる重要な指標とされています。
ただし全ての天然ダイヤが人工ダイヤと区別できる蛍光性を有している訳ではなく、人工ダイヤのような蛍光性を持つ天然ダイヤも存在します。 あくまで指標のひとつです。
ダイヤモンドの価値は
人工ダイヤモンドの品質はもちろんピンキリではありますが、高品質なものは既に天然物と容易に見分けが付かないほどです。 鑑定士でも容易に判別はできず、顕微鏡で見ないと分からないレベルです。
しかしその価値は人工物というだけで天然物と比べて劣ります。 ジュエリー業界の策略なのかそれとも天然物をありがたがる人の性なのか、とにかく人工ダイヤは安いです。
天然ダイヤだからといって全て同じ価格という訳ではなく、4つの指標で評価された上でおよその相場が決められます。 指標は「カット(Cat)」「色(Color)」「透明度(Clarity)」「重さ(Carat)」の4つからなり、頭文字を取って4Cとも呼ばれます。 この評価は宝石の鑑別書に記載されているのですが、人工ダイヤは鑑別書の仕様が違ったり、鑑別自体をしてもらえなかったりします。
そんな事情で人工ダイヤの主な用途は工業用です。 その固さを活かしてカッターや研磨剤として活躍しています。
しかしひっそりと中古市場に大量の人工ダイヤが出回っているのでは?という話を最近よく聞きます。 人工ダイヤもまた本物のダイヤですが、偽物だと勘違いしている人も多いです。 そこに付け込まれて「本物ダイヤ」として安い人工ダイヤを天然物だと勘違いして買ってしまうことがあるようですよ。気を付けましょう。
もし将来的に精製技術が向上してより安価で完璧な人工ダイヤモンドができた場合、おもちゃの指輪に人工ダイヤが使われるようになる日が来るかもしれません。いや、ガラス引っ搔いて傷つくからやっぱり駄目ですね。