イカスミパスタはあるのにタコスミパスタがない理由
イカやタコは敵に襲わるとスミを吐いて逃げます。 どちらも同じ事をしていると考える人が多いですが、実は両者のスミの用途は微妙に違います。
この用途の違いがスミの性質の違いに繋がり、イカスミパスタはあるけどタコスミパスタはない理由になっています。
イカスミとタコスミの用途の違い
イカもタコも敵に襲われるとスミを吐いて逃げます。 それでは何のためにスミを吐いているのかはご存知でしょうか?
多くの人はスミを煙幕のように使って捕食者の目くらましをしていると考えています。 しかし実はこれはタコのスミに限った話で、イカのスミは微妙に用途が違います。
イカスミは捕食者にスミをイカだと錯覚させるためのもので、吐くとドロッとした紡錘形の塊になります。 そして捕食者がイカスミをイカだと勘違いして襲っている間に逃げます。
対してタコスミは捕食者の目を眩ませてるためのもので、吐くとぶわっと広がります。 そして捕食者が驚いたり見失ったりしている間に逃げます。
つまりイカスミは囮として出し、タコスミは煙幕として出してるのです。 そのため両者のスミの性質も微妙に違い、イカスミの方がタコスミに比べて粘性が強いです。
イカスミパスタがあってタコスミパスタがない理由
イカスミは吐いた後にある程度の形を保たせるため粘性が高いのに対して、タコスミはサラサラで広がりやすいです。 パスタに絡めるソースは粘性がある方が使いやすく、その点でイカスミの方が優れています。
また一匹のイカ・タコから取れるスミの量はイカの方が多く、一匹あたりの価格もイカの方が安いです。 更にタコスミは内臓の奥まった場所にあり取り出すのが難しいです。
つまりイカスミはタコスミと比べて調理しやすい上にコストパフォーマンスに優れる食材なのです。 だから料理に使われるのは専らイカスミなんですね。
タコスミパスタも作れない訳ではありませんが、イカスミパスタと比べて調理の難易度が高く、味も栄養もほぼ変わりなく、値段は高くなります。 タコスミパスタが流行らない理由は明白ですね。
セピア色はイカスミの意
黒っぽい茶色のことを「セピア色」と言います。 写真や画像編集などでよく耳にする色ですね。
このセピアとはイカの事で、要はイカスミ色の意です。 イカスミは古くはインクや顔料に使われており、そこからイカ色=セピア色と呼ばれるようになったのです。
「写真がセピア色に色あせる」なんて言い回しがありますが、昔の写真は処理の問題で変色しやすく年月が経つにつれてセピア色に変わっていくのが原因です。 その事からかセピア色の写真にはノスタルジックな雰囲気が漂い、今日においても敢えて写真や画像をセピア調に編集したりすることもあります。