ビールと生ビールの違い
ビールにはよく「生ビール」と銘打っているものがあります。 しかし一体何が「生」なのかはご存知でしょうか。
答えはビールを加熱処理したかどうかで、加熱処理していければ生ビールです。 肉や魚と同じですね。
ビールと生ビールの違いは加熱処理の有無
ビールは麦芽、砂糖、水、酵母菌で作ります。 これらを混ぜてある程度の期間寝かせておくと酵母菌が糖をアルコールと炭酸ガスに分解し、やがて飲み頃の「生ビール」となります。
飲み頃のビールの中にはまだ糖と酵母菌が残ったままで、酵母菌はそのまま糖の分解を続けます。 やがて糖がなくなるまで活動を続けますが、糖が分解されるほどにビールのおいしさがなくなっていきます。
そこで低温加熱によって酵母菌を殺し、飲み頃のビールのおいしさを長く保つ措置をします。 これが生ではない「ビール」です。
酵母菌がいなくなると発酵が止まるので味の劣化が抑えられます。 なので昔は作ってから飲まれるまで時間のかかるビールは加熱処理されていました。
大して生ビールは酵母菌を殺すための加熱処理を行なっていないものを指します。 昔から生ビールはありましたが、美味しさを損なわないうちにすぐに飲んでしまう想定のものでした。
現代においては生ビールが普通に流通していますが、すぐ飲まなければいけない訳ではありません。 これは現代の生ビールが加熱処理ではない方法で酵母菌を取り除いているからです。
1967年、サントリー社はビールを濾過することによって酵母菌を除去する方法を開発しました。 これは加熱処理をせずとも飲み頃のビールの味をそのままに保てる画期的なものです。 これが今一般的に流通している「生ビール」の正体です。
昔は加熱処理しないと長期保存できませんでしたが、現代では生ビールでも長期保存が可能になっています。 だから生ビールが流通している訳ですね。
ちなみに海外では生ビールは樽出しビール(ドラフトビール)と言って、樽に詰めた出来立てのものを指します。 外国人は日本の缶ビールや瓶ビールに「生」と書いてあるのを疑問に思うかもしれませんね。